皆さんこんにちは災害医療らぼです。
災害時に薬剤師って何をするの?診察もできないし、DMATでは「業務調整員」ってまとめられてるじゃん!
という方向けに、災害時に薬剤師は何をするのか、どんなことをしてきたのかを解説します。
災害医療における医薬品関係の事柄を「災害薬事」と呼び、災害薬事にはCSCAPPPという合言葉があります。
今回はCSCAPPPの基づいて災害医療における薬剤師の必要性をご紹介します!
CSCAPPPとは何か
CSCAPPPとは、災害医療の中で薬剤師が何をするのか、どのような考え方で活動するのかをまとめた合言葉です。
CSCAPPPの各スペルには以下の意味があります。
C | 指揮・統制 | Comand and control |
S | 安全 | Safety |
C | 情報伝達 | Communication |
A | 評価 | Assessment |
P | 災害薬事トリアージ | Pharmaceutical triage |
P | 準備・調剤 | Preparation |
P | 医薬品供給 | Provide Pharmaceuticals |
災害医療における基本的な原則であるCSCATTTと似ています。
CSCATTTの前半「CSCA」は災害医療における超基本のため同じです。
ということで災害薬事の特徴でもある3つのPを見ていきましょう。
CSCATTTはこちらからどうぞ
Pharmaceutical triage:災害薬事トリアージ
災害薬事トリアージを一言で表現すると、「薬物療法のサポート順位の決定」です。
トリアージと聞いたら、START法などの緑・黄・赤・黒のタグを思い出しますね。
トリアージと同じように、ふるい分けを行います。
災害薬事トリアージでは、被災者の薬事ニーズを緊急度や重要度を判断して薬物治療のサポート順位を決定します。
このような「人のトリアージ」、持参する医薬品の選定などの、「医薬品のトリアージ」があります。
人のトリアージ
人のトリアージでは、「傷病者の重症度・緊急度」、「医薬品処方の必要性」の2つの目的を持っています。
傷病者の重症度・緊急度
被災地において薬の在庫は限られています。そのような状況で30日分の薬を渡すことはできるでしょうか?
在庫が豊富ならできますが、災害時にはできない場合があります。
被災者の薬事ニーズを把握し、緊急度や重要度に応じて選別・サポートします。
医薬品処方の必要性
薬事トリアージには4つのカテゴリーが設定されています。
- 医師の診察・処方を必要とする
- 厚生労働省からの通知等によって、お薬手帳等の錠用薬の情報を基に薬剤師が投薬可能とする
- OTC医薬品で対応可能とする
- 情報提供のみ
このように、薬事トリアージにより、医薬品処方の必要性を判断します。
医薬品のトリアージ
こちらはどんな薬が必要か、持参・要請する薬剤の種類、剤型、用量などを選別します。
当然、持参できる医薬品の量が決まっているため、種類・量を絞らなければなりません。
どのようなニーズがあるのかを判断するスキルが必要です。
災害時の携行医薬品リストはDMATやJMATで公開されており、「薬剤師のための災害対応マニュアル」には、災害時に需要が見込まれる医薬品等が掲載されています。
※注意点
平常時には薬事トリアージは基本ありません。
大規模災害時などでは特別に処方箋なしで医薬品を販売できます。薬事法参照
Preparation:準備・(調剤)
準備といっても何を??ってなりますね。とにかく、調剤をできる状況を準備します。
例えば、場所・人員・医薬品・機械などです。
以上がそろった状態で被災地に支援に向かうことができる車両がモバイルファーマシーです!
医薬品供給のために準備が必要な事項の例は以下のようになります。
- 薬剤の備蓄場所
- 薬剤内容のリスト化
- 調剤場所
- 薬剤師
- 薬剤ニーズの把握
- 供給手段
Provide medicines:医薬品供給・調剤
準備ができたら次は医薬品の供給です。
供給先は窓口の患者だけでなく、病院や避難所、医療チームにも供給します。
東日本大震災の際、調剤薬局では4~5時間待ちの長蛇の列ができました。
医薬品不足ってホント??
災害時には医薬品が足りない!
支援しなきゃ!
という風に聞いたことがあると思います。
しかし、実際に発災から数か月たつと使用期限切れの医薬品が大量に破棄されているのが現状です。
災害サイクルと医薬品の関係を見てみましょう。
超急性期:備蓄した医薬品しかない=医薬品不足
急性期:医薬品が整理されておらず使えない〈支援物資として医薬品は潤沢〉
亜急性期:普段使っている医薬品はない
慢性期:医薬品の大量破棄
薬剤師のスキルが生かされるのは「薬の知識」
被災地に送られてきた膨大な量の薬があっても
何がどの薬効かわからないから使わない。という状態があったそうです。
そこに薬剤師がいるだけであら不思議!
ぐちゃぐちゃだった医薬品在庫が一覧表に!!
「あ、その薬効ならこの薬でも使えますよ~」の一声で問題が解決!!
東日本大震災を期に活躍の場が見いだされてきました。
実際にどのような活動をしてきたかはこちらの本を読むと分かりやすいです!
以上がCSCAPPPです。
また別にまとめたいのですが、避難所を巡回する医療チームに薬剤師がいるだけで、薬を調べる時間が省ける。〈錠剤を見て薬がわかるのは薬剤師〉
服薬指導が丁寧。
等のメリットがありました。
支援に入った医師は専門外の診察をすることがあるため、慣れ親しんだ薬を使うことができません。
そのため、薬剤師が処方のお手伝い〈相談役〉を務めることもあります。
これからも薬剤師の活躍が楽しみです!
災害医療の場で薬剤師として活躍したい方はこちらを学ぶことをオススメします!
以上、CSCAPPPでした。
まとめるとこの表になります。
災害時の医療ニーズに関連する資料・書籍・サイト
本記事作成にあたり参考にした書籍・資料・サイトです。ぜひご覧ください!
日本病院薬剤師会 平成23年(2011年)東日本大震災 災害医療支援関連情報
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