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【令和4年更新】見やすいDMAT活動要綱

原本は厚生労働省DMAT事務局で確認できます。

令和4年の更新内容はこちらから!

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  1. I 概要
    1. 1. 災害派遣医療チーム(DMAT(Disaster Medical Assistance Team))とは
    2. 2. 運用の基本方針
    3. 3. 本要領の位置付け
  2. Ⅱ 用語の定義
    1. 1.DMAT
    2. 2.DMAT登録者
    3. 3.統括DMAT登録者
    4. 4.DMATの活動
    5. 5.DMAT補助要員
    6. 6.DMATロジスティックチーム
    7. 7.DMATロジスティックチーム隊員
    8. 8.DMATインストラクター・タスク
    9. 9.DMAT本部・指揮所
    10. 10. DMAT参集拠点
    11. 11. DMAT指定医療機関
    12. 12. 航空搬送拠点臨時医療施設(ステージングケアユニット:SCU)
    13. 13. 広域医療搬送
    14. 14. 地域医療搬送
    15. 15. ドクターヘリ
    16. 16. 災害医療調査ヘリ
    17. 17. ロジスティクス
    18. 18. 地方ブロック
    19. 19. 保健医療調整本部
    20. 20. 保健医療活動チーム
    21. 21. 災害医療コーディネーター
    22. 22. 災害時小児周産期リエゾン
    23. 23. 災害派遣精神医療チーム
    24. 24. 災害時健康危機管理支援チーム
    25. 25. 日本赤十字社救護班
  3. Ⅲ 通常時の準備
    1. 1.運用に係る計画の策定
    2. 2.DMAT指定医療機関の指定、業務計画の策定及び協定等
    3. 3.DMAT登録者、統括DMAT登録者、DMATロジスティックチーム隊員の登録
    4. 4.DMAT本部の設置準備
    5. 5.連絡体制の確保
    6. 6.DMATの資器材・車両の確保
    7. 7.広域医療搬送の準備
    8. 8.DMATの運用体制の確保
    9. 9.研修・訓練の実施
  4. Ⅳ 初動
    1. 1.発災直後の対応等
    2. 2.DMATの待機要請
      1. ① 東京都 23 区で震度5強以上の地震が発生した場合、その他の地域で震度6弱の地震が発生した場合、特別警報が発出された場合
      2. ② 震度6強の地震が発生した場合
      3. ③ 震度7の地震が発生した場合、大津波警報が発表された場合
    3. 3.DMATの派遣要請
      1. ① 震度6弱の地震又は死者数が2人以上 50 人未満若しくは傷病者数が 20 名以上見込まれる災害の場合
      2. ② 震度6強の地震又は死者数が 50 人以上 100 人未満見込まれる災害の場合
      3. ③ 震度7の地震又は死者数が 100 人以上見込まれる災害の場合
      4. ④ 南海トラフ地震(東海地震、東南海・南海地震を含む)又は首都直下型地震の場合
    4. 4.DMATロジスティックチーム隊員の派遣要請
    5. 5.DMAT補助要員の派遣要請
  5. Ⅴ 被災都道府県保健医療調整本部、各DMAT本部等の役割
    1. 1.被災都道府県保健医療調整本部
    2. 2.都道府県DMAT調整本部
      1. 派遣要請
      2. 各DMAT本部の立ち上げ、運用
      3. 被災状況の把握とDMAT活動戦略の策定
      4. 医療搬送調整
      5. ロジスティクス
      6. DMAT撤収と引き継ぎの調整
      7. その他必要な事務
    3. 3.DMAT活動拠点本部
      1. 指揮系統の確立
      2. 医療機関の情報収集
      3. 医療搬送調整
      4. ロジスティクス
      5. DMAT撤収、引継ぎ
    4. 4.DMAT指揮所
    5. 5.DMAT参集拠点本部
    6. 6.厚生労働省医政局及びDMAT事務局
    7. 7.DMAT指定医療機関
    8. 8.関係機関の連絡要員
  6. Ⅵ DMATの活動
    1. 1.被災地域での活動
    2. 2.広域医療搬送
      1. ① 広域医療搬送におけるSCU活動
      2. ② 航空機内の医療活動
    3. 3.ロジスティクス
    4. 4.ドクターヘリ及び災害医療調査ヘリの活用
    5. 5.DMAT活動の終了
  7. Ⅶ 費用の支弁
    1. 1.原則
    2. 2.災害救助法が適用された場合
    3. 3.災害救助法が適用されない場合
  8. Ⅷ 新興感染症に係るDMATの活動
    1. 1.派遣要請
    2. 2.活動内容
    3. 3.活動の終了
    4. 4.費用の支弁

I 概要

1. 災害派遣医療チーム(DMAT(Disaster Medical Assistance Team))とは

 大地震及び航空機・列車事故等の災害時や、新興感染症等のまん延時に、地域において必要な医療提供体制を支援し、傷病者の生命を守るため、厚生労働省の認めた専門的な研修・訓練を受けた災害派遣医療チームが日本DMATである。

 自然災害に限らず航空機・列車事故等の大規模な集団災害において、一度に多くの傷病者が発生し医療の需要が急激に拡大すると、被災都道府県だけでは対応が困難な場合も想定される。

 平成7年の阪神淡路大震災では、多くの傷病者が発生し医療の需要が拡大する一方、病院も被災し、ライフラインの途絶、医療従事者の確保の困難などにより被災地内で十分な医療も受けられずに死亡した、いわゆる「防ぎ得る災害死」が大きな問題として取り上げられた。

 平成 19 年の中越沖地震のような限局的な災害では、発災直後から救出・救助が行われ、傷病者を拠点病院に集め、重症者を航空機や救急車で機能している災害拠点病院に搬送することにより、生命的・機能的予後の改善が認められた。

 平成 23 年の東日本大震災では、多数のDMATが被災地に参集する一方、津波災害により、外傷傷病者等への救命医療ニーズが少なかったこと、通信が困難であったこと、派遣調整を行う本部の対応が不十分であったことなど、DMATの活動について多くの課題も明らかとなった。

 平成 28 年の熊本地震では、被災地に派遣される医療チームや保健師チーム等を全体としてマネージメントする機能を構築する必要があるとされたことを踏まえ、各都道府県に大規模災害時の保健医療活動の総合調整を行う保健医療調整本部を設置することとなった。

 平成 30 年の大阪府北部地震、7月豪雨、北海道胆振東部地震では、医療機関のライフライン支援の重要性が改めて確認された。

 このような災害に対しては、専門的な訓練を受けたチームが可及的速やかに被災地域に入り、まず、被災地域の保健医療需要を把握し、被災地における急性期の医療体制を確立する。その上で被災地域での緊急治療病院支援を行いつつ、被災地域で発生した多くの傷病者を被災地域外の適切な医療機関に搬送するとともに、被災地に参集する、保健医療活動チーム(DMAT、日本医師会災害医療チーム(Japan Medical Association Team: 以下「JMAT」という。)、日本赤十字社の救護班(以下「日赤救護班」という。)、独立行政法人国立病院機構(以下「国立病院機構」という。)の医療班、全日本病院医療支援班(All Japan Hospital Medical Assistance Team:以下「AMAT」という。)、歯科医師チーム、薬剤師チーム、看護師チーム、保健師チーム、管理栄養士チーム、災害派遣精神医療チーム(Disaster Psychiatric Assistance Team: 以下「DPAT」という。)その他の災害対策に係る保健医療活動を行うチーム(被災都道府県以外の都道府県から派遣されたチームを含む。)をいう。以下同じ。)との有機的な連携ができれば、死亡や後遺症の減少が期待できる。

 このような災害時の医療活動には、通常時の外傷等の基本的な救急診療に加え、多様な医療チーム等との連携を含めた災害医療マネージメントに関する知見が必要である。

 令和2年の新型コロナウイルス感染症において、DMAT資格を有する者が、災害医療の経験を活かして、感染症の専門家とともに、ダイヤモンドプリンセス号での対応のほか、都道府県庁の患者受け入れを調整する機能を持つ組織・部門での入院調整や、クラスターが発生した介護施設等での感染制御や業務継続の支援等を行った。

2. 運用の基本方針

 DMATの活動は、通常時に都道府県と医療機関との間で締結された協定及び厚生労働省、文部科学省、独立行政法人国立病院機構等により策定された防災計画等に基づくものである。

DMATの派遣は被災地域の都道府県の派遣要請に基づくものである。ただし、厚生労働省は当分の間、被災地域の都道府県の派遣要請が無い場合であっても、緊急の必要があると認めるときは、都道府県等に対してDMATの派遣を要請することができる。

 DMAT1隊あたりの活動期間は、その機動性を確保する観点から、初動のチーム(1次隊)は移動時間を除き概ね48時間以内を基本とする。
なお、災害の規模に応じて、DMATの活動が長期間(1週間など)に及ぶ場合には、DMAT2次隊、3次隊等の追加派遣で対応することを考慮する。
このような2次隊、3次隊や、DMATロジスティックチームの活動期間は、48時間に限定せず、柔軟に対応する。

 厚生労働省は、通常時にDMAT活動要領を策定するとともに、標準化された研修・訓練の実施及びDMATを構成する要員の認証・登録により、DMATの質の維持及び向上を図る。
また、厚生労働省は、災害時に、初動期からの積極的な情報収集等により都道府県に対し必要な支援を行うものとし、DMATの活動に関わる情報集約、総合調整、関連省庁との必要な調整及び被災地域外の都道府県等に対するDMATの派遣要請を行う。
厚生労働省は、災害時に被災地域の都道府県が管内のDMAT指定医療機関に対しDMATの派遣要請を行わない場合において、緊急の必要があると認めるときは、当該都道府県に対し、管内のDMAT指定医療機関にDMATの派遣要請を行うよう求めることができる。
これらの通常時及び災害時の対応を円滑に行うため、厚生労働省は独立行政法人国立病院機構本部にDMAT事務局を設置する。

 都道府県は、通常時に、DMAT運用計画の策定、医療機関等との協定の締結等を行い、災害時に、計画に基づきDMATを運用し、活動に必要な支援(情報収集、連絡、調整、人員又は物資の提供等)を行う。

 DMAT指定医療機関は、通常時に、DMATの派遣の準備、DMATに参加する要員の研修・訓練に努め、災害時に、被災地域の都道府県等の派遣要請に応じてDMATを派遣する。

 災害拠点病院をはじめ、日本赤十字社、独立行政法人国立病院機構、大学附属病院等は、DMATの活動に必要な支援(情報収集、連絡、調整、人員又は物資の提供等)を可能な範囲で行う。

3. 本要領の位置付け

災害対策基本法に基づく防災基本計画には、DMATのさまざまな役割が記載されている。

 本要領は、厚生労働省防災業務計画に基づき、指定行政機関や都道府県等がその防災業務計画や地域防災計画(相互地域防災計画も含む。)等においてDMAT等の派遣要請、運用等について記載する際の指針となるものである。

 また、本要領は、都道府県が作成する医療計画等にDMAT等の整備又は運用といった災害時の医療について記載する際の指針となるものである。

 なお、本要領は、DMAT等の運用等の基本的な事項について定めるものであり、都道府県等の自発的な活動や相互の応援及び日本赤十字社の自主的な活動を制限するものではない。

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Ⅱ 用語の定義

1.DMAT

DMATとは、災害の発生直後の急性期(概ね 48 時間以内)から活動が開始できる機動性を持った、専門的な研修・訓練を受けた医療チームである。

 DMAT1隊の構成は、医師1名、看護師2名、業務調整員1名の4名を基本とする。

DMAT
DMAT

 DMATは、DMAT本部(「Ⅱ-10.DMAT本部」参照)、医療機関、SCU、災害現場等において、本部活動、搬送、情報収集・共有、診療等を行う。必要な場合には、初期の避難所、救護所、社会福祉施設での活動のサポート等を考慮する。

2.DMAT登録者

 DMAT登録者は、厚生労働省等が実施する「日本DMAT隊員養成研修」を修了し、又はそれと同等の学識・技能を有する者として厚生労働省から認められ、厚生労働省に登録された者である。

 DMAT登録者には、DMAT隊員証が交付される。

 DMAT登録者は、災害の急性期にDMATとして派遣される資格を有する。

3.統括DMAT登録者

 統括DMAT登録者は、厚生労働省が実施する「統括DMAT研修」を修了し、厚生労働省に登録された者である。

 統括DMAT登録者は、通常時に、DMAT登録者への訓練、DMATに関する研修、都道府県等の災害医療体制に関する助言等を行う。

 統括DMAT登録者は、災害時に、各DMAT本部の責任者として活動する資格を有する。

4.DMATの活動

 DMATは、都道府県等の派遣要請を受け、DMAT指定医療機関から派遣され、活動を行う。

 DMATの活動は、DMAT指定医療機関に所属しているDMAT登録者により実施される。

5.DMAT補助要員

 DMAT補助要員は、厚生労働省・都道府県等の派遣要請を受け、DMATの活動の支援を行う。

6.DMATロジスティックチーム

 DMATロジスティックチームは、DMAT都道府県調整本部等の本部業務において、統括DMAT登録者をサポートする。

 DMATロジスティックチームは、主に病院支援や情報収集等のロジスティクスを専門とした活動を行う。

7.DMATロジスティックチーム隊員

 DMATロジスティックチーム隊員は、厚生労働省等が実施する「DMATロジスティックチーム隊員養成研修」を修了し、厚生労働省に登録された者である。

 DMATロジスティックチーム隊員は、災害時にDMATロジスティックチームとして活動する資格を有する。

8.DMATインストラクター・タスク

 DMATタスクとは、DMAT隊員養成研修修了者で、研修運営参加を希望する者とする。

 DMATインストラクターとは、タスクとしてインストラクター要件を満たすもので、DMAT事務局により認められたものとする。

 DMATインストラクターは、以下の役割が求められる。

  • 日本DMAT隊員への研修(隊員養成研修、広域医療搬送実機研修、技能維持研修、統括DMAT研修、統括DMAT技能維持研修等)のインストラクションとコース運営
  • 政府総合防災訓練(大規模地震時医療活動訓練)やDMATブロック訓練、各都道府県における災害対策訓練(保健医療分野)の企画と運営
  • 発災時、DMAT本部活動をマネージメントできる能力

 認定要件、更新要件は別に定める。

9.DMAT本部・指揮所

 DMAT本部は、地域を統括し、「本部長」を長とする。

 DMAT指揮所は、医療現場を統括し、「リーダー」を長とする。

 DMAT本部とは、DMAT事務局、都道府県DMAT調整本部、DMAT活動拠点本部、DMAT参集拠点本部をいう。

 DMAT指揮所とは、DMAT・SCU指揮所、DMAT病院支援指揮所、DMAT現場活動指揮所等をいう。

 都道府県は、災害時に、被災地域内のDMATに対する指揮、関係機関との調整等を行う組織として、DMAT本部を設置する。

 DMAT本部は、DMATの指揮、医療機関・現場・社会福祉施設・避難所等における医療ニーズの収集と整理、搬送調整、DMATならびに医療機関のロジ支援を行う。

 DMAT指揮所は、DMATの指揮、SCUや活動現場等においては診療部門の設置及び運営、搬送調整、当該活動場所の関係機関や、消防・自衛隊等の関係機関との連携等を行う。

 都道府県DMAT調整本部長は、都道府県のコーディネーターの機能の一部を担うため、都道府県の災害医療コーディネーターが兼ねることが望ましい。

 都道府県DMAT調整本部は、都道府県保健医療調整本部の指揮・調整のもとに活動し、都道府県保健医療調整本部と情報の共有を行う。

10. DMAT参集拠点

DMAT参集拠点とは、災害拠点病院、空港、高速道路のSA、PA等、派遣されたDMATが最初に集合する場所をいう。

 都道府県又はDMAT事務局はDMAT参集拠点を被災状況に応じて被災地内外に具体的に指定し、必要に応じてDMAT参集拠点本部を設置する。

11. DMAT指定医療機関

 DMAT指定医療機関は、DMAT派遣に協力する意志を持ち、厚生労働省又は都道府県に指定された医療機関である。

12. 航空搬送拠点臨時医療施設(ステージングケアユニット:SCU)

 SCUとは、航空機での搬送に際して患者の症状の安定化を図り、搬送を実施するための救護所として、被災地及び被災地外の航空搬送拠点に、広域医療搬送や地域医療搬送に際して都道府県により設置されるもの。

13. 広域医療搬送

 広域医療搬送とは、国が各機関の協力の下、自衛隊機等の航空機を用いて対象患者を被災地内の航空搬送拠点から被災地外の航空搬送拠点まで航空搬送する医療搬送をいう。

 広域医療搬送は、被災地域及び被災地域外の民間や自衛隊の空港等に航空搬送拠点を設置して行う。

14. 地域医療搬送

 地域医療搬送とは、被災地内外を問わず、都道府県、市区町村及び病院が、各防災関係機関の協力を得て、ヘリコプター、救急車等により患者を搬送する医療搬送(県境を越えるものも含む)であって、広域医療搬送以外のものをいう。

 災害現場から被災地域内の医療機関への搬送、被災地域内の医療機関から近隣地域への搬送、被災地域内の医療機関からSCUへの搬送及び被災地域外のSCUから医療機関への搬送を含む。

15. ドクターヘリ

 ドクターヘリとは、救急医療用ヘリコプターを用いた救急医療の確保に関する特別措置法(平成19年6月27日法律第103号)に基づき、厚生労働省のドクターヘリ導入促進事業により都道府県等の救急医療政策の一環として運用されている医師及び看護師又は救急救命士を搭乗させたヘリコプターであり、災害時には、災害時のドクターヘリ運航要領等に基づき、必要に応じてDMATの活動支援に活用することができる。

16. 災害医療調査ヘリ

 災害医療調査ヘリとは、DMAT事務局が、災害時に、被災地域の医療状況等の調査、厚生労働省、都道府県、医療関係者等へ情報提供等を行うために運航するヘリコプターであり、必要に応じてDMATの活動支援にも活用することができる。

17. ロジスティクス

ロジスティクスとは、医療活動に関わる通信、移動手段、医薬品、生活手段等を確保することをいう。

 DMAT活動に必要な連絡、調整、情報収集の業務等も含む。

 DMATのチームの一員としてのロジスティック担当者に加え、DMATロジスティックチームがロジスティクスを担う。

18. 地方ブロック

 地方ブロックの名称及び当該ブロックに属する都道府県は、次のとおりとする。

  • 北海道ブロック 北海道
  • 東北ブロック 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県、新潟県
  • 関東ブロック 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県
  • 中部ブロック 富山県、石川県、福井県、山梨県、長野県、岐阜県、静岡県、愛知県、三重県
  • 近畿ブロック 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
  • 中国ブロック 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
  • 四国ブロック 香川県、愛媛県、徳島県、高知県
  • 九州・沖縄ブロック 福岡県、佐賀県、大分県、長崎県、熊本県、宮崎県、鹿児島県、 沖縄県

 隣接ブロックとは次のとおりとする。北海道ブロックの隣接ブロック:東北、東北ブロックの隣接ブロック:北海道及び関東、関東ブロックの隣接ブロック:東北及び中部、中部ブロックの隣接ブロック:関東及び近畿、近畿ブロックの隣接ブロック:中部、中国及び四国、中国ブロックの隣接ブロック:近畿、四国及び九州・沖縄、四国ブロックの隣接ブロック:近畿、中国及び九州・沖縄、九州・沖縄ブロックの隣接ブロック:中国及び四国。

19. 保健医療調整本部

 大規模災害時に、被災都道府県に設置され、保健医療活動チームの派遣調整、保健医療活動に関する情報の連携、整理、分析等の保健医療活動の総合調整を行う本部をいう。(「大規模災害時の保健医療活動に係る体制の整備について」(平成 29 年7月5日付け科発 0705 第3号・医政発 0705 第4号・健発 0705 第6号・薬生発 0705第1号・障発 0705 第2号 厚生労働省大臣官房厚生科学課長、医政局長、健康局長、医薬・生活衛生局長及び社会・援護局障害保健福祉部長連名通知)

20. 保健医療活動チーム

 DMAT、JMAT、日赤救護班、独立行政法人国立病院機構の医療班、AMAT、歯科医師チーム、薬剤師チーム、看護師チーム、保健師チーム、管理栄養士チーム、DPAT、その他の災害対策に係る保健医療活動を行うチーム(被災都道府県以外の都道府県から派遣されたチームを含む。)をいう。

21. 災害医療コーディネーター

 災害時に、都道府県並びに保健所及び市町村が保健医療活動の総合調整等を適切かつ円滑に行えるよう、保健医療調整本部において、被災地の保健医療ニーズの把握、保健医療活動チームの派遣調整等に係る助言及び支援を行うことを目的として、都道府県により任命された者をいう。(「「災害医療コーディネーター活動要領」及び「災害時小児周産期リエゾン活動要領」について」平成 31 年2月8日付け医政地発 0208 第2号 厚生労働省医政局地域医療計画課長通知)

22. 災害時小児周産期リエゾン

 災害時に、都道府県が小児・周産期医療に係る保健医療活動の総合調整を適切かつ円滑に行えるよう、保健医療調整本部において、被災地の保健医療ニーズの把握、保健医療活動チームの派遣調整等に係る助言及び支援を行う都道府県災害医療コーディネーターをサポートすることを目的として、都道府県により任命された者をいう。(「「災害医療コーディネーター活動要領」及び「災害時小児周産期リエゾン活動要領」について」平成 31 年2月8日付け医政地発 0208 第2号 厚生労働省医政局地域医療計画課長通知)

23. 災害派遣精神医療チーム

 災害時に、被災地域の精神保健医療機能が一時的に低下し、さらに災害ストレス等により新たに精神的問題が生じる等、精神保健医療への需要が拡大した際、被災地域の精神保健医療ニーズの把握、他の保健医療体制との連携、各種関係機関等とのマネージメント、専門性の高い精神科医療の提供と精神保健活動の支援を行うため、専門的な研修・訓練を受けた応援派遣チームをDPATという。(「災害派遣精神医療チーム(DPAT)活動要領について」平成 29 年5月2日障精発 0502 第1号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課長通知)

24. 災害時健康危機管理支援チーム

 災害時健康危機管理支援チーム(Disaster Health Emergency Assistance Team:以下、「DHEAT」という。)は、災害が発生した際に、被災都道府県の保健医療調整本部及び被災都道府県等の保健所が行う、被災地方公共団体の保健医療行政の指揮調整機能等を応援するため、専門的な研修・訓練を受けた都道府県等の職員により構成する応援派遣チームをいう。(「災害時健康危機管理支援チーム活動要領について」(平成 30 年3月 20 日付け健健発 0320 第1号 厚生労働省健康局健康課長通知)

25. 日本赤十字社救護班

 日本赤十字社救護班(以下、「日赤救護班」という。)は、本要領におけるDMATと協働して活動するものとする。

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Ⅲ 通常時の準備

1.運用に係る計画の策定

 都道府県、厚生労働省、独立行政法人国立病院機構等は、DMAT運用に関わる計画(以下「DMAT運用計画」という。)を事前に策定する。

 日本赤十字社は、日赤救護班とDMATとの協働に係る計画を事前に策定する。

 DMAT運用計画には、広域医療搬送におけるDMATの活動及びSCUの設置・運営に関する事項(設置場所、協力を行う病院の指定を含む)、保健医療活動チームとの連携についても明記することが望ましい。

2.DMAT指定医療機関の指定、業務計画の策定及び協定等

 都道府県は、管内の病院をDMAT指定医療機関として指定し、厚生労働省にその旨報告する。

 DMAT指定医療機関は、以下の指定要件を満たす病院とする。

  • 医療機関としてDMAT派遣を行う意志を持つこと。
  • DMATの活動に必要な人員、装備を持つこと。
    なお、DMAT指定医療機関は災害拠点病院であることが望ましい。

 DMAT指定医療機関の指定更新は5年ごとに行われる。

 DMAT指定医療機関の指定更新要件は、以下のとおりとする。

  • 「DMAT地方ブロック訓練」に5年に2回以上参加していること。
    なお、「DMAT地方ブロック訓練」への参加要件を満たせない場合は、政府総合防災訓練への参加実績を考慮する。

 都道府県は、管内のDMAT指定医療機関を災害時の業務計画に明示し、運用に関する必要な事項について協定を締結する。

 都道府県は、管内の日本赤十字社支部と日本赤十字社のDMATの運用に関する必要な事項について協定を締結する。

 都道府県とDMAT指定医療機関等の協定は、以下の事項を含むものとする。

  • 要請方法
  • 指揮系統
  • 業務
  • ロジスティクス
  • 活動費用
  • DMATに参加する要員の身分の取扱いとDMAT活動における事故等への補償(補償は、自然災害や事故による負傷、感染症や精神疾患への罹患等においても対応することが求められる。)

 厚生労働省は、DMAT指定医療機関を把握する。

 厚生労働省及び国立病院機構は、DMATの運用について防災業務計画に明示する。

 DMAT指定医療機関は、自施設のDMAT登録者が以下の役割を担う環境整備に努める。

  • 自施設の災害対策委員会のマネージメント
  • 地域の災害医療対策委員会への関与
  • 地域の災害訓練への参加
  • EMISの平時入力項目の定期的な更新 等

3.DMAT登録者、統括DMAT登録者、DMATロジスティックチーム隊員の登録

 厚生労働省は、「日本DMAT隊員養成研修」を修了した者又はそれと同等の学識・技能を有する者をDMAT登録者として認証する。

 厚生労働省は、「統括DMAT研修」を修了した者を統括DMAT登録者として認証する。

 厚生労働省は、「DMATロジスティックチーム隊員養成研修」を修了した者をDMATロジスティックチーム隊員として認証する。

 厚生労働省は、DMAT事務局を通じて、DMAT登録者、統括DMAT登録者、DMAT事務局及びDMATロジスティックチーム隊員(以下「DMAT登録者等」という。)を把握する。

 DMAT登録者等は、所属などの登録内容に変更があった場合は、都道府県及び厚生労働省両方に届け出る。

 DMAT登録者の資格更新は5年ごとに行われる。ただし、年度途中にDMAT登録者として認証を受けた場合は、認証を受けた当該年度及びその後4年間を、DMAT登録者の資格有効期間とする。

 DMAT登録者の資格更新要件は、以下のとおりとする。

  • 資格有効期間において「DMAT技能維持研修」に2回以上参加していること。

 統括DMAT登録者は、統括DMAT登録者の届出に基づき、定期的に更新される。

 DMAT指定医療機関は、当該医療機関に勤務するDMAT登録者等を把握し、定期的に都道府県に報告する。

 都道府県は、管内のDMAT指定医療機関におけるDMAT登録者等を把握するとともに、DMAT登録者等に係る情報の更新を行い、その結果を厚生労働省に報告する。

4.DMAT本部の設置準備

 都道府県は、通常時において、あらかじめ、統括DMAT登録者のうち災害時に都道府県DMAT調整本部の責任者となる予定の者を複数指名する。

 都道府県は、通常時において、あらかじめ、災害時に都道府県災害対策本部や保健医療調整本部が置かれるのと同一もしくは近接した場所に、都道府県DMAT調整本部として使用する場所を確保するよう努める。

 災害拠点病院は、通常時において、あらかじめ、当該施設内に災害時にDMAT活動拠点本部として使用する場所を確保する。

5.連絡体制の確保

 厚生労働省及び都道府県は、広域災害・救急医療情報システム (EMIS:Emergency Medical Information System)以下「EMIS」という。)の整備に際して、DMATの情報連絡システムとしての機能も付与する。

 DMATは、EMISの入力、DMAT本部や派遣元病院との連絡のため、被災地内でインターネット環境を含めた通信環境の確保が求められる。したがって、DMAT指定医療機関は、衛星携帯電話を含めた複数の通信手段を確保する。

6.DMATの資器材・車両の確保

 DMAT指定医療機関は、日本DMAT検討委員会が定める資器材、車両、活動服を整備するよう努める。

 DMAT指定医療機関は、DMAT出動の為、患者搬送可能な車両を含め、複数台の車両を保有することが望ましい。

7.広域医療搬送の準備

 都道府県は、厚生労働省及び関連省庁と連携し、広域医療搬送を想定した搬送計画を策定し、航空搬送拠点およびSCU設置場所などをあらかじめ定め、必要な資機材を確保しておくことが望ましい。

8.DMATの運用体制の確保

 都道府県は、DMATの運用に関する事項を協議するため、都道府県DMAT連絡協議会を設置する。

 都道府県DMAT連絡協議会は、DMAT指定医療機関、都道府県医師会、日本赤十字社支部、消防等から構成されるものとする。

 都道府県は、地方ブロックごとのDMAT体制の維持及び連携に関する事項を協議するため、地方ブロックDMAT連絡協議会を設置する。

 都道府県DMAT連絡協議会や地方ブロックDMAT連絡協議会は、管内での研修及び訓練等の企画、運営を支援するため、インストラクター部会を設置することができる。

 厚生労働省は、全国規模のDMATの運用に関する事項を協議するため、日本DMAT検討委員会を設置する。

 DMAT事務局は、通常時に、DMAT登録者等の研修・登録・更新作業、DMAT地方ブロック訓練の管理、政府総合防災訓練の企画・運営、日本DMAT検討委員会開催に係る事務、DMAT活動におけるロジスティクスのための関係業界との協定締結、DMAT活動の向上のための研究、必要に応じて都道府県等が主催するDMAT研修の支援等、DMAT体制の維持及び発展に関わる事務を取り扱う。

9.研修・訓練の実施

 厚生労働省は、DMATに参加する医師、看護師等に対する教育研修を推進するものとし、関係省庁の協力の下、「日本DMAT隊員養成研修」、「統括DMAT研修」、「DMATロジスティックチーム隊員養成研修」、「DMAT技能維持研修」、「統括DMAT登録者技能維持・ロジスティクス研修」等を実施する。

 日本DMAT検討委員会は、日本DMAT隊員養成研修等の実施とその質の管理について、厚生労働省に対し技術的な助言を行う。

 厚生労働省は、日本DMAT検討委員会の技術的な助言を踏まえ、都道府県等で行われる研修について、実施体制、研修内容等を評価し、「日本DMAT隊員養成研修」として認定又は、「日本DMAT隊員養成研修」の一部として認定することができる。厚生労働省の認定を受けた研修の修了者は、DMAT登録者となる。(一部として認定された場合は、追加研修の受講により、DMAT登録者となる。)

 厚生労働省は、内閣府等の政府関係機関、都道府県、日本赤十字社等と連携し、DMATの訓練を実施する。なお、訓練の実施にあたっては、DMAT事務局とDPAT事務局との連携に留意する。

 DMAT指定医療機関は、DMAT登録者の研修・訓練に努めるものとする。

 DMAT登録者は、通常時に、連絡体制などDMAT派遣の準備を整え、DMATの研修・訓練に積極的に参加する。

 都道府県は、日本DMAT検討委員会が定める要件に基づいて、地方ブロックごとに、DMATの継続的な研修・訓練を行う。

 都道府県は、厚生労働省又は都道府県が実施するDMAT関連の研修や訓練において、管内のDMAT登録者の技能維持、DMATインストラクター・タスクの養成・保持等を目的とした、研修及び訓練への参加を推進する環境整備に努める。

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Ⅳ 初動

1.発災直後の対応等

 都道府県は、災害による被害が発生もしくは発生が見込まれる場合には、状況に応じてEMISを警戒もしくは災害モードに切り替える。

 都道府県は、災害による被害が発生もしくは発生が見込まれる場合には、都道府県災害医療コーディネーター等の助言を参考にし、必要に応じて、都道府県DMAT調整本部を立ち上げる。

 都道府県DMAT調整本部の立ち上げにあたっては、以下の基準を参考に検討する。

  • 自動待機基準
  • 派遣要請基準

 被災都道府県に隣接する都道府県においても、DMATの派遣要請や患者の受け入れ要請に備え、都道府県DMAT調整本部を立ち上げることを検討する。

2.DMATの待機要請

 都道府県、厚生労働省等は、自然災害又は人為災害が発生し、被災地域外からの医療の支援が必要な可能性がある場合は、DMAT派遣のための待機を要請する。

 待機要請の手順は、派遣要請の手順に準じて行う。

 次の場合には、該当するDMAT指定医療機関は、被災の状況にかかわらず、都道府県、厚生労働省等からの要請を待たずに、DMAT派遣のための待機を行う。下記の基準について、以下「DMAT自動待機基準」という。

① 東京都 23 区で震度5強以上の地震が発生した場合、その他の地域で震度6弱の地震が発生した場合、特別警報が発出された場合

→該当する都道府県並びに該当する都道府県に隣接する都道府県及び該当する都道府県が属する地方ブロック管内のDMAT指定医療機関

② 震度6強の地震が発生した場合

→該当する都道府県並びに該当する都道府県に隣接する都道府県、該当する都道府県が属する地方ブロック及び該当する都道府県が属する地方ブロックに隣接する地方ブロック管内のDMAT指定医療機関

③ 震度7の地震が発生した場合、大津波警報が発表された場合

→全国のDMAT指定医療機関

 DMAT自動待機基準に基づく待機は、厚生労働省(DMAT事務局を含む)が解除する。その場合、都道府県が引き続き待機を必要と判断した場合は、都道府県が改めて管内のDMAT指定医療機関に待機要請を行う。

3.DMATの派遣要請

 被災都道府県は、当該都道府県外からの医療の支援が必要な規模の災害が発生した場合には、管下の都道府県災害医療コーディネーター等の助言を参考にし、非被災都道府県に対し、DMATの派遣を要請する。また、都道府県間での調整が整わないときは、厚生労働省(DMAT事務局を含む)に対して、派遣調整を要請する。

 被災都道府県は、以下の基準に基づき、管下の都道府県災害医療コーディネーター等の助言を参考にし、必要に応じて速やかにDMATの派遣要請を行う。

① 震度6弱の地震又は死者数が2人以上 50 人未満若しくは傷病者数が 20 名以上見込まれる災害の場合

→管内のDMAT指定医療機関に対してDMATの派遣を要請

② 震度6強の地震又は死者数が 50 人以上 100 人未満見込まれる災害の場合

→管内のDMAT指定医療機関並びに被災都道府県に隣接する都道府県及び被災都道府県が属する地方ブロックに属する都道府県に対してDMATの派遣を要請

③ 震度7の地震又は死者数が 100 人以上見込まれる災害の場合

→管内のDMAT指定医療機関並びに被災都道府県に隣接する都道府県、被災都道府県が属する地方ブロックに属する都道府県及び被災都道府県が属する地方ブロックに隣接する地方ブロックに属する都道府県に対してDMATの派遣を要請

④ 南海トラフ地震(東海地震、東南海・南海地震を含む)又は首都直下型地震の場合

→管内のDMAT指定医療機関及び全国の都道府県に対してDMATの派遣を要請

 厚生労働省は、被災都道府県の派遣要請に応じ、都道府県、文部科学省、国立病院機構等に対してDMATの派遣を要請する。

 非被災都道府県は、被災都道府県の派遣要請に応じ、厚生労働省と連携し、管内のDMAT指定医療機関及び日本赤十字社支部に対してDMATの派遣を要請する。

 厚生労働省は、当分の間、被災都道府県の派遣要請が無い場合においても、緊急の必要があると認めるときは、非被災都道府県に対して被災地域へのDMATの派遣を要請できる。

 厚生労働省及びDMAT事務局は、DMAT派遣の必要性に関する情報を積極的に収集し、都道府県を支援する。

 厚生労働省及びDMAT事務局は、EMISを通じて、都道府県、国立病院機構、日本赤十字社支部及びDMAT指定医療機関に対してDMATの派遣要請の連絡を行う。

 都道府県、厚生労働省及びDMAT事務局は、DMATの派遣要請の際に、DMATの参集拠点、想定される業務等についての情報を提示する。

 文部科学省、国立病院機構等は、被災都道府県の派遣要請に応じ、厚生労働省と連携し、管下のDMAT指定医療機関に対してDMATの派遣を要請する。

 DMAT指定医療機関は、都道府県、厚生労働省、文部科学省、国立病院機構等の派遣要請を受け、事前の計画、協定等に基づき速やかにDMATを派遣する。

 派遣要請を受けたDMAT指定医療機関は、派遣に関する状況をEMISに速やかに入力する。さらに、DMATの活動状況に応じ適宜EMISを更新する。

 ドクターヘリが配備されたDMAT指定医療機関のDMATは、災害時のドクターヘリ運航要領等に基づいて必要に応じてドクターヘリを活用することができる。

 被災都道府県は、継続したDMATの支援が必要な場合は、必要に応じてDMATの追加派遣(2次隊、3次隊等)を要請することができる。この場合、中長期的な医療提供体制が被災都道府県によって確立されるまでの必要な期間に限って協力することとし、都道府県は医療チームの派遣を調整する保健医療調整本部の設置を早期に行うよう努める。

4.DMATロジスティックチーム隊員の派遣要請

 災害の規模に応じて、厚生労働省・DMAT事務局は被災都道府県と調整のうえ、都道府県、文部科学省、国立病院機構等に対してDMATとともにDMATロジスティックチーム隊員の派遣を要請する。

 DMAT事務局は、DMATロジスティックチーム隊員の中から、DMATロジスティックチームを編成する。

5.DMAT補助要員の派遣要請

 厚生労働省及び都道府県は、日本赤十字社、国立病院機構、ドクターヘリ基地病院、ドクターヘリ運航会社等にDMAT等の活動を支援するDMAT補助要員の派遣を要請する。

 日本赤十字社、国立病院機構等は、厚生労働省等の要請を受け、管下の人員をDMAT補助要員として可能な範囲で派遣する。

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Ⅴ 被災都道府県保健医療調整本部、各DMAT本部等の役割

1.被災都道府県保健医療調整本部

 被災都道府県は、大規模災害時において、保健医療調整本部を設置し、管内等で活動するすべてのDMATを都道府県DMAT調整本部を通じて統括する。

 被災都道府県は、都道府県保健医療調整本部の要員として、DMAT事務局から派遣される要員、当該都道府県内外の統括DMAT登録者、DMATロジスティックチーム隊員等の支援を受けることができる。

 保健医療調整本部は、被災都道府県災害対策本部の指揮下に置かれる。

2.都道府県DMAT調整本部

 被災都道府県、DMATの派遣要請を受けた都道府県および患者の受け入れ要請を受けた都道府県は、管内等で活動するすべてのDMATを指揮する都道府県DMAT調整本部を設置する。

 都道府県DMAT調整本部は、被災都道府県災害対策本部及び都道府県保健医療調整本部の指揮下に置かれる。被災地域外等で、都道府県災害対策本部・都道府県保健医療調整本部が立ち上がっていない場合は、都道府県の医療担当部局の指揮下に置かれる。
なお、都道府県保健医療調整本部と都道府県DMAT調整本部が双方設置されている場合は、双方が同じ業務を行う弊害が無いように保健医療調整本部と都道府県DMAT調整本部で調整の上、連携して業務を行うことが望ましい。

 都道府県は、原則として、災害医療コーディネーターのうち統括DMAT登録者である者の中から、都道府県DMAT調整本部の本部長(以下、本部長)を任命することが望ましい。

 都道府県は、あらかじめ都道府県DMAT調整本部の責任者となる予定の者として指名していた統括DMAT登録者の中から本部長を任命する。ただし、やむを得ない場合は、あらかじめ指名していた者以外の統括DMAT登録者を本部長代行として任命することができる。

 被災都道府県は、都道府県DMAT調整本部の要員として、DMAT事務局から派遣される要員、当該都道府県内外の統括DMAT登録者、DMATロジスティックチーム隊員等の支援を受ける。

 都道府県は、都道府県DMAT調整本部において、必要に応じて消防等関係機関からの連絡要員を受け入れる。

 被災地内の都道府県DMAT調整本部は、必要に応じて以下の業務を行うものとする。

派遣要請

  • 災害規模に応じて、都道府県災害医療コーディネーター等と連携し、非被災都道府県や厚生労働省にDMAT派遣要請を行うよう助言する

各DMAT本部の立ち上げ、運用

  • 都道府県DMAT調整本部以外の都道府県内の各DMAT本部の設置、指揮及び調整
  • 都道府県災害対策本部、都道府県保健医療調整本部との連絡及び調整
  • 都道府県災害医療コーディネーター等と連携した都道府県保健医療調整本部のコーディネート機能への支援
  • 厚生労働省との情報共有
  • 都道府県災害医療コーディネーターと連携し、必要に応じて、消防、自衛隊等の関連機関との連携及び調整の補助を行う
  • 都道府県災害医療コーディネーターと連携し、必要に応じて、保健医療活動チームとの連携及び調整の補助を行う

被災状況の把握とDMAT活動戦略の策定

  • 都道府県内の医療機関等の被災情報の収集、EMISへの入力促進
  • 都道府県内等で活動するすべてのDMATの指揮及び調整
  • DMATの投入や配分に関する方針策定および周知

医療搬送調整

  • 都道府県災害医療コーディネーターをサポートし、都道府県内における医療搬送ニーズ把握の補助を行う
  • 都道府県災害医療コーディネーターをサポートし、地域医療搬送における受入病床及び搬送手段の確保等の調整の補助を行う
  • 都道府県災害医療コーディネーターをサポートし、都道府県内全体の搬送フロー図の策定の補助を行う
  • 広域医療搬送計画の把握、周知
  • ドクターヘリの運航と運用に関わる調整の補助を行う(ドクターヘリ調整部の設置、航空運用調整班への人員派遣等)

ロジスティクス

  • 都道府県内で活動するDMAT、医療機関へのロジスティクス

DMAT撤収と引き継ぎの調整

  • 撤収及び追加派遣の必要性の助言

その他必要な事務

 

 被災地域外の都道府県DMAT調整本部は、必要に応じて以下の業務を行うものとする。

  • 都道府県内のDMATの派遣調整の補助
  • 被災情報等の収集
  • 被災地で活動する自都道府県DMATへのロジスティクス
  • 被災地の都道府県DMAT調整本部との連絡及び調整
  • 被災地域からの患者の受け入れの支援
  • DMAT・SCU指揮所の設置、指揮及び調整への助言
  • 都道府県災害医療コーディネーターと連携し、消防、自衛隊等の関連機関との連携及び調整の補助を行う
  • 厚生労働省との情報共有
  • その他必要な事務

3.DMAT活動拠点本部

 都道府県DMAT調整本部は、必要に応じてDMAT活動拠点本部を設置する。

 DMAT活動拠点本部の責任者は、統括DMAT登録者が担当する。

 DMAT活動拠点本部は、都道府県DMAT調整本部の指揮下に置かれる。

 DMAT活動拠点本部は、都道府県DMAT調整本部により、災害拠点病院等から選定され、必要に応じて複数箇所設置される。

 DMAT活動拠点本部に指定された医療機関のDMAT(不在時は他医療機関等から派遣されたDMAT)の責任者は、都道府県、厚生労働省等と連携し、DMAT活動拠点本部の立上げを行い、当面の責任者となる。

 DMAT活動拠点本部に指定された医療機関のDMAT(不在時は他医療機関等から派遣されたDMAT)の責任者が統括DMAT登録者でない場合は、統括DMAT登録者が到着後に、権限を委譲する。

 DMAT活動拠点本部が設置された災害拠点病院は、DMAT活動拠点本部の場所やDMATの待機場所の確保、通信インフラ、資器材の提供などの支援を行う。

 DMAT活動拠点本部は、本部要員として、DMAT事務局から派遣される要員、当該都道府県内外の統括DMAT登録者、DMATロジスティックチーム隊員等の支援を受ける。

 DMAT活動拠点本部において、必要に応じて消防等関係機関からの連絡要員を受け入れる。

 DMAT活動拠点本部は、必要に応じて以下の業務を行うものとする。

指揮系統の確立

  • 管内のDMAT指揮所の設置、指揮及び調整
  • 参集したDMATの登録、指揮及び調整
  • 管内におけるDMAT活動方針の策定
  • 都道府県DMAT調整本部、都道府県保健医療調整本部、保健所又は市町村における保健医療活動の調整等を担う本部、地域災害医療対策会議等との連絡及び調整
  • 消防、自衛隊等の関連機関との連携及び調整の補助を行う
  • 保健所、市区町村、消防等の関係機関への連絡要員の派遣を行う
  • 医師会及び保健所等と連携し、地域災害医療対策会議におけるコーディネート機能の支援を行う

医療機関の情報収集

  • 管内の医療機関等の被災情報等の収集
  • 収集した情報のEMISへの反映

医療搬送調整

  • 管内の地域医療搬送における受入病床及び搬送手段の確保等の調整の補助を行う
  • 管内の搬送フロー図の策定の補助を行う
  • ドクターヘリ本部と連携し、ドクターヘリの運航と運用に関わる調整の補助を行う

ロジスティクス

  • 管内で活動するDMAT、医療機関へのロジスティクス

DMAT撤収、引継ぎ

  • 当該地域からの撤収及び追加派遣の必要性の判断に関する都道府県DMAT調整本部への助言
  • その他必要な事務

4.DMAT指揮所

 DMAT指揮所は、DMAT活動拠点本部又は都道府県DMAT調整本部により、必要に応じて設置される。DMATが活動する病院ではDMAT病院支援指揮所、SCUではDMAT・SCU指揮所、災害現場等ではDMAT現場活動指揮所として設置される。その他、必要に応じて、DMATの活動場所に指揮所が設置される。

 指揮所の責任者である「リーダー」は、DMAT活動拠点本部又は調整本部により任命される。

 DMAT指揮所は設置したDMAT本部の指揮下に置かれる。

 災害拠点病院またはDMAT指定医療機関にDMAT病院支援指揮所が設置された場合、当該施設所属のDMAT隊員は、自施設の災害対策本部と病院支援指揮所との連携を図る。

 DMAT指揮所は、必要に応じて以下の業務を行うものとする。

  • 管下のDMATの指揮及び調整
  • 管下のDMAT活動方針の策定
  • 診療部門の設置及び運営(SCUや活動現場等において)
  • 搬送に関わる調整
    診療部門の患者数の把握
    病院・SCUの搬入搬出に関わる搬送手段の把握・要請
    病院・広域医療搬送等の搬送先の状況の把握・要請
  • 当該活動場所の関係機関や、消防・自衛隊等の関係機関との連携
  • 当該活動場所の撤収及び追加派遣の必要性の判断

5.DMAT参集拠点本部

 都道府県DMAT調整本部又はDMAT事務局は、必要に応じてDMAT参集拠点にDMAT参集拠点本部を設置する。

 DMAT参集拠点本部は、都道府県DMAT調整本部又はDMAT事務局の指揮下に置かれる。

 DMAT参集拠点本部の責任者は、統括DMAT登録者が担当する。

 DMAT事務局が参集拠点本部を設置した場合、設置後、速やかに当該都道府県に連絡する。

 DMAT参集拠点本部は、災害拠点病院、空港、高速道路のSA、PA等、派遣されたDMATが最初に集合する場所に置かれる参集拠点に設置する。

 DMAT参集拠点本部に先着したDMATは、都道府県、厚生労働省等と連携し、DMAT参集拠点本部の立上げを行い、当面の責任者となる。

 先着したDMATの責任者が統括DMAT登録者でない場合は、統括DMAT登録者が到着後に権限を委譲する。

 DMAT参集拠点本部は、本部要員として、DMAT事務局から派遣される要員、当該都道府県内外の統括DMAT登録者、DMATロジスティックチーム隊員等の支援を受ける。

 DMAT参集拠点本部において、必要に応じて消防等関係機関からの連絡要員を受け入れる。

 DMAT参集拠点本部は、以下の業務を行うものとする。

  • 参集したDMATの登録と指揮
  • 厚生労働省、DMAT事務局、都道府県DMAT調整本部のDMAT配分方針に基づいた、活動する都道府県、DMAT本部の具体的な指示
  • 被災情報等の収集
  • DMAT、医療機関へのロジスティクスの拠点としての活動
  • 都道府県DMAT調整本部、都道府県保健医療調整本部等との連絡及び調整
  • 消防、自衛隊等の関連機関との連携及び情報共有
  • 厚生労働省との情報共有
  • その他必要な事務

6.厚生労働省医政局及びDMAT事務局

 厚生労働省医政局及びDMAT事務局は、DMATの派遣の要請等、DMATの活動全般について厚生労働省の本部機能を果たす。

 厚生労働省医政局及びDMAT事務局は、以下の業務を行うものとする。

  • 被災都道府県(統括DMAT登録者)との連絡調整
  • 都道府県DMAT調整本部の支援
  • DMAT派遣に関する調整
  • DMAT活動にかかる方針の策定
  • 全国のDMAT隊員への情報提供
  • 事務局員の各本部への派遣
  • DMATロジスティックチーム隊員の派遣に関する調整
  • 搬送手段(自衛隊等)の確保に関する調整及び情報提供
  • ドクターヘリ及び災害調査ヘリの派遣調整
  • 被災地域外の患者受入医療機関の確保
  • 物資の調達と輸送手段の確保
  • 活動終了、2次隊、3次隊等派遣の必要性の判断
  • 政府内部の調整

7.DMAT指定医療機関

 DMAT指定医療機関は、DMATを派遣した際には、当該医療機関内に次の機能を担う部門を設ける。

 DMAT指定医療機関は、派遣したDMATの活動を把握し、必要な支援、連絡及び調整を行う。

 DMAT指定医療機関及び日本赤十字社支部は、EMISの情報を派遣したDMATに伝えるとともに、DMATから得た情報をEMISに入力することにより、情報の共有化を図るものとする。

8.関係機関の連絡要員

 DMAT本部等は、必要に応じて、保健所、市区町村、消防・自衛隊等の関係機関に連絡要員を派遣する。

 連絡要員は、関係機関における情報収集及び必要な調整を行う。

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Ⅵ DMATの活動

1.被災地域での活動

 被災地域で活動するDMATは、原則として、被災地域内の災害拠点病院等に設置されるDMAT活動拠点本部に行き、その調整下で被災地域での活動を行う。

 被災地域で活動するDMATは、原則的として、自力で移動する。

 被災地域で活動するDMATは、DMAT本部、医療機関、SCU、災害現場等において、本部活動、搬送、情報収集・共有、診療等を行う。また、現地の医療ニーズに応じて柔軟に活動する。
さらに、他の保健医療活動チーム等と、情報共有を含めた連携を行う。

 空路で被災地に参集したDMATについても、状況に応じてこれらの活動に従事する。
その場合、移動手段の確保についてはDMATロジスティックチームが支援する。

 医療機関に派遣されたDMATは、当該医療機関での活動中は、当該医療機関長の指揮下に入る。

 医療機関に派遣されたDMATは、当該医療機関の被害状況を把握し、必要に応じて、EMISで発信する。

 医療機関に派遣されたDMATは、把握した被害状況に応じて、物資支援、搬送支援、診療支援等の活動を行う。

 DMATは、自施設や関係機関等の搬送車両および航空機等に同乗し、医療搬送を実施する。

 災害現場で活動するDMATは、当該地域で活動中の消防機関等と連携し、トリアージ、緊急治療等を行う。

2.広域医療搬送

 広域医療搬送に携わるDMATは、各地域に指定された航空搬送拠点に参集する。

 広域医療搬送に関わる業務として、以下の業務を行うものとする。

① 広域医療搬送におけるSCU活動

 SCU活動を行うDMATは、DMAT・SCU指揮所の指揮下で活動を行う。

 SCU活動を行うDMATは、SCUにおける患者の症状の安定化や搬送のためのトリアージなど間断なき医療を行う。

 SCU活動を行うDMATは、医療資器材・医薬品等の使用状況を把握し、必要があれば、DMAT・SCU指揮所を通じて都道府県等に調達等の依頼を行う。

 日本赤十字社、国立病院機構等は、SCUの活動に必要な支援を可能な範囲で行う。

② 航空機内の医療活動

 航空機内の医療活動を担当するDMATは、DMAT・SCU指揮所の指揮下で活動を行う。

 航空機内の医療活動を担当するDMATは、航空機内における患者の症状監視と必要な処置を行う。

3.ロジスティクス

 DMATは、DMAT活動に関わる通信、移動手段、医薬品、生活手段等については、自ら確保しながら、継続した活動を行うことを基本とする。

 ロジスティクスは、DMATやDMATロジスティックチーム、DMAT補助要員が担当する。

 厚生労働省、都道府県、DMATロジスティックチーム等は、DMAT活動に関わる通信、移動手段、医薬品、生活手段等に関し、関係業界(通信関係、ヘリコプター、レンタカー、タクシー等の交通関係、医薬品等の卸関係等)に対して、その確保を依頼するとともに可能な限り支援・調整を行う。

 DMATの派遣元の都道府県は、派遣したDMATへのロジスティクスを可能な限り行うことが望ましい。

 日本赤十字社、国立病院機構等は、厚生労働省、都道府県等の要請に応じ、DMAT活動に関わる通信、移動手段、医薬品、生活手段等の確保を可能な範囲で行う。

4.ドクターヘリ及び災害医療調査ヘリの活用

 ドクターヘリは、必要に応じて、DMATの移動、患者の搬送等に活用することができる。

 ドクターヘリは、必要に応じて不足する医療資器材の輸送などロジスティクスのためにも活用することができる。

 都道府県DMAT調整本部内に設置される、ドクターヘリ調整部は、都道府県災害対策本部に設置される航空運用調整班に、ドクターヘリと他機関の航空機との調整を行うために要員を派遣する。その上で、ドクターヘリ調整部は、ドクターヘリ本部やDMAT・SCU指揮所が行うドクターヘリの運航と運用に関わる調整に必要な支援を行う。

 ドクターヘリ基地病院から派遣されたDMAT等は、被災地域内に参集した複数のドクターヘリの運航と運用について可能な限り支援を行う。

 ドクターヘリを運航する航空会社は、DMATの活動やロジスティクスのために、安全を確保しつつ可能な限り支援を行う。

 都道府県は、ドクターヘリによるDMATの派遣等に関して、災害時のドクターヘリ運航要領等に基づいて必要な支援を行う。

 災害医療調査ヘリは、DMAT活動に関わる情報収集、要員の派遣、患者搬送等の業務を行う。

5.DMAT活動の終了

 DMAT活動の終了については、被災都道府県が、災害医療コーディネーター、DMAT事務局等の助言を踏まえて決定する。

 大規模災害時等におけるDMAT活動の終了の目安は、保健医療活動チームや地域の医療資源が確保され、組織的な支援が行われていることである。

 DMATロジスティックチームは、保健医療活動チームによる組織的な活動の体制が確立し、円滑に運営されることを確認し、活動を終了する。

 各DMATは、撤収について、所属するDMAT本部、指揮所、派遣元の都道府県・DMAT指定医療機関と調整する。

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Ⅶ 費用の支弁

1.原則

 DMAT及びDMATロジスティックチーム(以下「DMAT等」という。)の派遣に要した費用は、原則として、DMAT等を派遣したDMAT指定医療機関と都道府県との事前の協定に基づいて支弁されるものとする。

 被災都道府県の要請によらないDMAT等の派遣については、費用支弁は原則として行われない。

2.災害救助法が適用された場合

 被災地域の都道府県のDMAT等派遣要請を受けた都道府県が管内のDMAT指定医療機関からDMAT等を派遣した場合において、当該要請を受けた都道府県が当該DMAT指定医療機関との協定に基づいて当該DMAT指定医療機関に対して救助に要した費用を支弁したときは、当該要請を受けた都道府県は、災害救助法第 18 条に基づき、被災地域の都道府県に対してその費用を求償できる。

 災害救助法第 20 条に基づきDMAT等の活動に要した費用を求償された被災地域の都道府県は、同法第 18 条により求償した都道府県に対して費用を支弁する。

3.災害救助法が適用されない場合

 災害救助法が適用されない場合において、被災地域の都道府県の要請によりDMAT指定医療機関がDMAT等を派遣した場合は、当該被災地域の都道府県は、「医療施設等運営費補助金交付要綱」のDMAT活動支援事業に係る経費(以下「対象経費」という。)を当該DMAT指定医療機関に対して直接支弁する。
また、災害救助法が適用されない場合において、被災地域の都道府県のDMAT等派遣要請を受けた都道府県が管内のDMAT指定医療機関からDMAT等を派遣した場合は、対象経費を被災地域の都道府県から当該要請を受けた都道府県に対して支弁する。

 被災地域の都道府県のDMAT等派遣要請を受けた都道府県が管内のDMAT指定医療機関からDMAT等を派遣した場合において、当該要請を受けた都道府県と当該DMAT指定医療機関が協定を締結していないときは、被災地域の都道府県は当該DMAT指定医療機関に対して直接対象経費を支弁する。

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Ⅷ 新興感染症に係るDMATの活動

1.派遣要請

 都道府県は、新興感染症に係る患者が増加し、通常の都道府県内の医療提供体制の機能維持が困難、又はその状況が見込まれる場合に、当該都道府県が管内のDMAT指定医療機関にDMATの派遣を要請する。

 都道府県は、新興感染症に係る患者が増加し、当該都道府県外からの医療の支援が必要な場合には、他の都道府県にDMATの派遣を要請する。
また、都道府県間での調整が整わないときは、都道府県が厚生労働省(DMAT事務局を含む)に対して、派遣調整を要請する。

2.活動内容

 DMATは、都道府県の要請に基づき、感染症の専門家とともに都道府県の患者受け入れを調整する機能を有する組織・部門での入院調整や、クラスターが発生した介護施設等の感染制御や業務継続の支援等を行う。

3.活動の終了

 DMAT活動の終了については、DMATの派遣を要請した都道府県がDMAT事務局等の助言を踏まえて決定する。

4.費用の支弁

 新型コロナウイルス感染症がまん延し、都道府県の要請により、管内のDMAT指定医療機関や他の都道府県のDMAT指定医療機関がDMATを派遣した場合は、派遣元の都道府県が「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金(医療分)交付要綱」に基づき、対象経費をDMAT指定医療機関に直接支弁する。

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