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DMATは新型コロナ対応で何をしたのか?災害医療とコロナ対応の違いを解説!

DMATの新型コロナ対応

皆さんこんにちは!

災害医療大学です。

  

今回はかの有名な感染症、「新型コロナウイルス」

の対応に、DMATが投入された点について触れていきます。

  

令和2年12月4日に行われた、

第22回救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会

で厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部ー地域支援DMAT

により報告された「新型コロナウイルス感染症とDMATの活動状況及び今後の在り方

をもとに記事を作成しています。

資料・議事録共に公開されているので、興味ある方は原文を読んでみてください。

  

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DMATはいつから活動しているの?

DMATは4月15日から活動を開始しており、初期は19名、

報告では10月30日まで約1500人・日が活動しました。

  

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DMATのコロナ対応内容

活動を大きく2つに分けると、本部活動・現地での活動があります。

本部活動として

  • 各都道府県庁での調整本部設置状況の把握
  • クラスター発生病院・施設の情報収集
  • 地域支援班の活動方針の整理
  • 感染症対応資材対応
  • 地域支援班の派遣調整

  

現地〈クラスター発生病院・施設〉活動として

  • 指揮情報支援
  • 必要な物資調整
  • 人的支援調整
  • 搬送調整

があげられます。

 

活動の初期のころは感染症対応資材対応として、

防護服不足を想定し、供給体制を整えていたと報告されています。

  

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DMATの派遣先

DMATはクラスターが発生した病院・福祉施設で活動を行いました。

各施設の平均年齢・死亡者数などの情報は下の表のとおりです。

  

病院におけるPCR陽性入院患者の平均死亡率14.1%でした。

  

表の死亡率1症例目確定からDMAT支援までの日数を見比べてください。

支援までの日数が長い施設ほど死亡率が高いことがわかります。

  

6日以内に支援に入った施設〈早期支援〉では死亡率が約6%となっています。

つまり病院においてDMATが早期に支援に入ることで死亡率を下げることができたといえます。

  

こちらの表は福祉施設におけるデータです。

福祉施設においては当初、要請が来ない・介入が遅れるということがありました。

 

全体の死亡率は11.7%となりました。

しかし、早期介入〈6日以内〉では5.3%の死亡率と低い水準に抑えています。

これらより、DMATの早期介入で死亡率が低く抑えられることがわかります。

  

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DMAT介入により死亡率低下!?

さて、ここまで「DMATが早期に介入すると死亡率が低下する

ということがわかりました。

 

しかし、よく考えるとなぜ早期介入で死亡率が低下するのかは謎です。

確立された治療法やワクチンがあれば、早期介入の効果があるのも理解できますが、

今回の新型コロナではそういうわけではありません。

 

この謎についても報告がされています。

死亡のピークと介入開始時期

こちらのグラフは死亡者数と支援開始日を示しています。

死亡者数が多い施設・病院における死亡のピークは支援開始すぐで、

支援による効果が表れる前にピークとなっています。

  

早期から介入している施設においては、

事態が表面化してから早期に死亡することを防げている可能性が報告されています。

  

DMATが報告した死亡の原因

早期に支援をすることが死亡率を下げる理由も考えられました。

では、なぜ死亡するのか?ということも考えてみましょう。

  

今回の死亡は大きく分けると、

  • 早期介入で防ぎえた死〈早期の死亡
  • 早期介入でも防げなかった死〈後期の死亡

があります。

  

まずは後期の死亡から見ていきましょう。

今回の報告においては、

コロナの進展という方もいるのですが、そのまま、この状態のお年寄りの方々は、何か1つストレスが加われば、当然、そのようになるだろうというケースが散見されているということでございます。」

と述べられています。

  

そして前期の死亡についてです。

先に述べたように、支援が遅れたことによって死亡者が多い病院・施設においては、

支援の効果が出る前に多くの死亡が出ています。

 

つまり、恐怖などによる混乱により、平常時の医療・看護が行えない環境になったことが原因と考えられます。

報告では

「実際にあった事例で申しますと、やはり、日々の検温であるとか、水分の摂取食事、そういうものが十分に行えなくなってしまったような施設、そういう時期に死亡の原因がまかれたという可能性があるのではないかと考えてございます。」

と述べられています。

  

病院死亡例の72%が寝たきり患者といわれ、

病院・施設集団感染による死亡の約半数は過剰死亡ではない可能性があるとも報告されています。

報告書はこちら!

  

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DMAT活動のまとめ

講義では触れていない点もありますが、

今回のDMAT活動の報告のまとめです。

  • 感染制御の体制が不十分な病院・施設に支援を行った
  • 早期支援により死亡率をおさえることができた
  • 早期支援した施設において新型コロナ感染症が直接の死因ではない可能性あり
  • 支援が遅れた施設は適切な医療・介護を受けられなかったことが全身状態悪化の可能性あり
  • 早期支援で早期に病院・施設を立て直しできる
  • 支援によって離職率をおさえた可能性がある
  • 感染拡大が起きた病院・施設でも死亡率をおさえることができる

  

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新型コロナ対応と災害医療

この講義のまとめになります。

災害医療の考え方は、「マネジメント体制から立て直すことでしっかり支援を行う」こと。

この意味で、災害対応と新型コロナ対応は本質が似ています。

  

つまり、共通点は

  • 調整体制の確立
    ー情報・搬送・物資支援体制の確立
  • 被災医療機関・社会福祉施設を支える活動
    現場を訪問し、困りごとの聴取
    物資・搬送・診療支援

となります。

では次に新型コロナ対応の特徴です。

  • 社会的対応による孤立地域
    行政指示で14日間の停留などがあり、展開が困難な孤立地域ができる
  • 想定された枠組みの不十分
    新型インフルエンザの想定との乖離
  • リスク認知の個人差と分断
    被災者や対応者への差別
    一部医療者や対応者への過剰負担
    患者受け入れ拒否・支援者不足
  • 全員の検査
  • 防ぎえる関連死の増加

報告の中では、「福島原発の対応に非常に類似している」とも述べられています。

  


さて、今回の講義はここまでです。

今後災害医療を行う中でも、新型コロナ対応というものはかかわってくると考えられます。

何が同じで、何が違うのか?

正しく恐れ、適切に対応しましょう。

  

過剰に心配・対応することで、平常時の医療を提供できないのでは意味がありません。

防ぎえた災害死は混乱によって発生します。

災害とは自然災害だけではありません。

今回の新型コロナ対応も混乱を招いた点では災害ともいえるのではないでしょうか?

  

災害医療大学で学び、適切な対応をとる知識を備えましょう!

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