災害の種類でニーズは変わる
超急性期は 外傷・急性疾患
急性期は 急性疾患
亜急性期~慢性期 は感染症・精神疾患
皆さんこんにちは災害医療大学です。
5限の「医療ニーズの変化」は4限の災害サイクルと連動しています。
とても大切なところです。
将来災害支援に行きたい! という方は確実におさえてください。
薬が必要な人に大量の包帯を持って行っても仕方がないですよね。
では行きましょう!
音声版は下の動画をご覧ください。
災害の種類による医療ニーズの違い
有名な話ではありますが、災害の種類によって、医療ニーズは大きく変わります。
阪神淡路大震災の時はクラッシュシンドロームや火傷のような外傷が多かったです。
それに対して東日本大震災ではどうでしょうか?
東日本大震災では外傷患者は少なかったそうです。
津波による被害が大きかったので、避難できたかどうかが生死を分けました。
そのため、東日本大震災では外傷は少なく、その後の避難所生活における医療ニーズがありました。
では、災害サイクルに沿って医療ニーズを見ていきましょう!
災害サイクルと医療ニーズ
超急性期〈発災から2~3日〉
外傷・急性疾患が多い。
死体の取り扱い、搬送を行う。
具体例:熱傷、クラッシュシンドローム、溺水、電撃症
超急性期にはDMATの活動がメインとなっています。
しかし、医薬品や医療資源などの調達が間に合わないことが考えられます。
ライフラインが復旧していない場合があるので、ライフラインの復旧がいそがれます。
死者や行方不明者の捜索や検死、
避難所への受け入れ、被災地外への転院・搬送などの対応が必要です。
また、病院などには軽症者が押し寄せます。
トリアージを行い、優先順位を考えて治療にあたる必要があります。
急性期〈発災から1週間程度〉
外傷・急性疾患に加えて、慢性疾患が出てくる。
具体例:喘息、エコノミークラス症候群
JMAT隊など医療救護班の活動が始まります。
物資や医薬品はある程度そろいますが、避難所などの衛生面を含む生活環境が悪化します。
ボランティアの参加もあり、受け入れや調整の業務も発生します。
避難所への巡回診療などのニーズが出てきます。
避難所アセスメントなどにより、避難所の優先順位を考える必要があります。
喘息の詳細
津波や洪水でヘドロが避難所近くに存在すると、
乾燥によってヘドロが空気中に舞い、喘息を引き起こします。
エコノミークラス症候群の詳細
避難所等で体を動かせない、車中泊などが原因で足に血栓ができ、
エコノミークラス症候群を引き起こします。
亜急性期~慢性期
慢性疾患に加え、精神疾患が増加する。
具体例:持病の悪化、感染症、PTSD、うつ、栄養失調
継続した医療、薬剤確保の困難による影響が出てきます。
避難生活が長引き、QOLが低下しています。
復興が本格化し、被災地の医療機関が稼働し始めます。
かかりつけだった医療機関を失った患者の慢性疾患のコントロールが問題となります。
また、栄養失調の対策が必要です。
持病の悪化の詳細
発災前まで服用していた薬を確保できなくなるため慢性疾患がコントロールできなくなります。
感染症の詳細
衛生環境が悪いこと、自己免疫が低下するため感染症が流行します。
生活不活発病といって、動かない生活を続けることで免疫力も低下しています。
避難所生活者数はピークのため、特に感染予防に徹底しなければなりません。
うつ・精神疾患の詳細
なれない避難所生活や、長く続く絶望によってうつが発症することがあります。
また、普段よりも気を張って頑張っている人がいたら要注意ですが、
自分の気持ちを抑えこんで活動している人は許容域を超えてうつになる場合があります。
PTSD(トラウマ)の詳細
支援に入りたい方には特にみていただきたい。
発災時やその後に大きな精神的ショックをうけ、PTSDになる可能性があります。
支援者も同じで、被災地で見た壮絶な光景などでショックを受けることがあります。
自分の精神の管理もできるようになれるといいですね。
以上、災害医療概論 5限目「医療ニーズの変化」でした。
より詳しいものを見たい方は、「震災後の医療需要の変化と医療支援」をご覧ください!
では確認テストを終えた人から解散で~す。
確認テスト
第一問 感染症は超急性期から気を付ける
第二問 避難所でエコノミークラス症候群になることがある
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回答一 正しい 感染が拡大するのは亜急性期あたりですが、初めから予防することで感染の拡大を防げます
回答二 正しい 定期的な運動の声掛けなどができるといいですね!
次はこちらの講義をどうぞ!
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