PAT法とは二次トリアージに使われる有名なトリアージ手法
対象は黄タグ・赤タグの傷病者
生理学的・解剖学的に評価
簡単に言うと、「見た感じやばそうなら赤タッグ」
皆さんこんにちは!
災害医療大学です。
トリアージといえばSTART法・PAT法の2つのトリアージが有名です。
START法はスピードと手軽さを重視していますが、
PAT法はもっとじっくり傷病者の観察を行います。
今回は二次トリアージに採用されているPAT法を解説します!
何度も見直して覚えてくださいね!
「トリアージ特別講義まとめ」はこちら!
PAT法とは生理的および解剖学的トリアージ
PAT法の「PAT」とは、
Physiological and Anatomical Triage
の略です。
直訳すると「生理的および解剖学的トリアージ」となります。
つまり、生理学的ポイント・解剖学的ポイントをおさえることでPAT法を攻略することができます!
イメージとしてはしっかり、がっつりトリアージを行います。
一次トリアージのSTART法で大まかに分け、
二次トリアージのPAT法でさらに詳しく評価しなおし、
オーバートリアージ・アンダートリアージを防ぎます。
「アンダートリアージ・オーバートリアージとは」はこちらから!
アンダートリアージとは、
「黄タグだけど、よく見たら赤じゃん!」といった例ですね。
そのため、PAT法トリアージは黄・赤のタグの傷病者が対象です。
〈緑タグから急に赤タグになる場合も・・・〉
PAT法は「パット法」と読みます。
ほかにもPAT方式と呼ぶこともあります。
PAT法のチェックポイント
PAT法トリアージの基準は下の図の通りです。


これらの項目のどれかに1つでも当てはまったら
→赤タッグです。
どれも当てはまっていないならば
→黄タッグです。
めっちゃ簡単ですね!
チェックリストのどれか1つにでも当てはまると「赤タッグ」
生理学的評価

生理学的評価は数値としてわかるので、簡単に判断できます。
JCS2桁
JCS2桁という言葉は初めて出てきましたね。
簡単に説明すると、「刺激をしてる間は目を開ける」です。
つまり、何をやっても目を開けないなら
→赤タッグ です。
呼吸・脈拍等
呼吸と脈に関してはSTARTトリアージとほぼ同じ値です。
「STARTトリアージ4つのポイント」はこちらから!
ショック症状
ショック症状とは、血圧が大幅に低下した状態です。
特徴として、手足の冷感・冷や汗・頻脈
があげられます。
解剖学的評価

一番難しいのは、解剖学的評価です。
基本的な流れとして頭から足にかけてみていきます。
上から下へと確認していきます。
トリアージにかけられる時間は約2分ということを意識しながら何をチェックするのか確認しましょう!
頭部の所見
開放性頭蓋骨陥没骨折
骨片が内側に陥没している状態の頭蓋骨骨折です。
また、開放性の骨折のため、外に骨が飛び出ている状態です。
脳組織が損傷を受けることがあります。
頸部胸部の所見
外経静脈の著しい怒張
右心不全の特徴ですね。
緊張性気胸の時の特徴ともいえます。
怒張とはパンパンに張っている状態です。
つまり、首元の静脈がパンパンに張っていたら赤タグです。
頸部・胸部の皮下気腫
首から胸にかけて皮膚の下に空気が入ったようなプクプクした気泡が皮下気腫です。
皮下気腫があると緊張性気胸を疑います。
緊張性気胸とは、息を吸うと肺から空気が漏れ、息を吐くと肺が閉じる状態です。
→胸腔に空気がたまり、肺や心血管を圧迫
胸郭動揺・フレイルチェスト
簡単に説明すると、肋骨・胸骨の骨折で、胸郭が不安定になっている状態です。
左右差や不自然な胸郭の動きが特徴です。
開放性気胸
胸壁に穴が開いている状態です。
呼吸の時にその穴から空気が出入りするため、肺の換気効率が下がることで低酸素血症になります。
テーピングで空気の出入りを止めましょう!
腹部の所見
腹部膨隆・腹壁緊張
膨らんでいる、硬くなっている原因は腹腔内出血です。
原則手術が必要ですね。
四肢の所見
テグロービング損傷
別名:広範囲皮膚剥脱
広範囲の皮膚がはがれている状態です。
解剖学的評価の各項目についてはこちらのサイトでも詳しく紹介されています。

以上がPAT法の方法です。
どんな考え方なのか?
ということを覚えていただけると幸いです。
PAT法攻略のコツ
ここまで難しそうだな~と感じた方もいると思います。
しかし、PAT法は何か一つでも当てはまったら赤タグ、当てはまらなかったら黄色タグという単純な見方もできます。
つまり・・・・見た感じやばかったらほぼ赤タグ
というわけです。
見落としがあり、アンダートリアージをしてはいけないから
頭から足にかけて細かく見ていく。
といった見方もできます。
どういう状態がやばいのか?
という観点で学んでみましょう!
確認テスト〈正誤問題〉
第一問 PAT法は二次トリアージに用いる方法である
第二問 PAT法は生理学的・解剖学的評価に基づく
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回答一 正しい
回答二 正しい
DMATの方がSTART法とPAT法のトリアージを行う動画もあります。
こちらも参考にしてください!
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