皆さんこんにちは!
災害医療大学です!
皆さんは普段から飲んでいる薬はありますか?
その薬は何日分確保できていますか?
災害が起き、医薬品供給ルートが途絶えると普段の薬がいつかなくなってしまいますね。
今回は災害時に医薬品は本当に足りないのか?
医薬品不足の真実
を見ていきましょう!
医薬品不足の真相
災害時には医薬品が足りない!
という風に聞いたことがあると思います。
しかし実際には、
大量の医薬品が破棄されているのです!
発災から数か月経ち、医薬品の使用期限が切れることで、大量の医薬品破棄につながります。
そして、医薬品破棄は地元の自治体の負担になっています。
支援のつもりで送ったのに・・・負担になっているかも・・・
医薬品不足と災害サイクル
なぜ医薬品が足りていないのに、大量破棄につながるのでしょうか?
答えは「使える医薬品が不足している」です。
災害サイクルと共に見てみましょう。
- 超急性期 :備蓄した医薬品しかない=医薬品不足
- 急性期 :医薬品が整理されていない=ごちゃごちゃしてて使えない
- 亜急性期 :普段使っている医薬品がない
- 慢性期 :医薬品の大量破棄
これが現実です。
整理すればいいじゃん~
と思いますが、災害時にはそこに充てる資源もないまま
支援物資が次々とやってきます。
図にまとめるとこのようになります。
なぜこのようになってしまうのでしょうか?
まずは厚生労働省防災業務計画で発表している医薬品供給の流れを見てみましょう。
被災地の状況確認
計画の中ではまず被災地の状況確認から始まります。
被災した都道府県が被災地内の医薬品等卸協同組合、日本赤十字社等を通じ、医薬品等の在庫、需給状況を把握します。
まずは被災地内にある医薬品でまかなえるように、在庫の確認を行う。
ということですね。
つまり、超急性期の備蓄のみでしのぐ際に行うことです。
ちなみに、医薬品等卸協同組合とは医薬品を病院などに対して卸売りを行う会社の協同組合です。
普段から医薬品の供給を担っている団体と思ってください!
医薬品の供給
上の図が災害の初期における医薬品供給のルートです。
被災都道府県が医薬品卸業者に協力を要請し、医薬品の確保を行います。
医療機関に医薬品を供給するルートと、避難所に医薬品を供給するルートが別になっていることを意識してください!
医薬品が足りないと判断した際に厚生労働省に報告します。
厚生労働省経由の医薬品供給のルートができるまで〈体制が整うまで〉
は医薬品卸業者に頼る形になっています。
災害時の実際は・・・
ぱっと見た感じ、卸業者からも、厚生労働省からも医薬品を供給してもらえて素晴らしい!
と思いますよね。
実際にはどのような結果になったでしょう?
日本医薬品卸売業連合会が国際委員会に提出した報告書
から東日本大震災の報告を見てみましょう!
医薬品供給はほぼ復旧していた!
東日本大震災の時「医薬品が足りていない・・・」と感じた方はいますか?
実際、医薬品卸業者の社屋や物流センターの損壊や浸水、停電等の被害が発生し、道路分断やガソリン不足が一時的に医薬品供給業務遂行の支障となりました。
その結果、医薬品が供給できていない!!!!!
と報道されました。
実際には、震災 3 日後の 3 月 14 日に医療用医薬品の供給はほぼ復旧していました。
大量に運び込まれる支援医薬品の仕分けの遅れ等の混乱によって、
避難所への医療用および一般用医薬品供給ルートは支障が出ていました。
通常の医療機関・薬局への医療用医薬品供給ルートはすぐに復旧できています。
厚生労働省も「現地卸業者による供給体制が迅速に整備されたにも関わらず、全国業界団体を通じて提供された医薬品が多量であり、また被災地への輸送のタイミングが遅かったことから余剰医薬品が発生したこと」
を反省点として掲げています。
東日本大震災に支援に入った医師の方は「薬剤師不足である」と支援中に話していたそうです。
医薬品は大量にあるけど、それを仕分けることのできる人材が足りていなかったことがわかりますね。
日本薬剤師会の発表した「東日本大震災における活動報告書」によると、
医療機関や薬局への供給ルートだけでなく、避難所への供給ルートについても、医薬品卸の通常ルートの範囲で対応することが効率的ではないか?
と報告されています。
今回は災害時の医薬品供給の流れと、真実を紹介しました。
「災害時は医薬品が足りていない!」という固定概念を捨てて、
「災害時は薬剤師が足りていない!」となっていただけたら幸いです。
災害時に薬局ごと移動して支援する「モバイルファーマシー」というのもあります!
今後の体制の変化が楽しみですね!
災害時の医薬品供給に関する資料・書籍・サイト
本記事作成にあたり参考にした書籍・資料・サイトです。ぜひご覧ください!
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