皆さんこんにちは!
災害医療大学です。
災害時に普段飲んでいる薬を持ち出せなかったらどうしましょう?
普段飲んでいる薬がない状態では急に状態が悪化することもあります。
被災直後のストレスの多い時には深刻な問題となります。
また、薬剤師側としては、「混んでいて病院には行けないんだけど、普段飲んでいる薬が欲しい」と言われた時どう対応しましょう?
今回は災害時の医薬品の受け渡しについてご紹介します。
普段はどうしているか
まず、普段の薬の受け渡しから見ていきましょう。
普段は病院に行き、「処方箋」を書いてもらい、薬局で薬を受け取ります。
この処方箋は「保険処方箋」と言い、健康保険法や国民健康保険法に基づいて保健医療機関から発行されます。
処方箋を応需できる場所〈調剤できる場所〉は保険薬局に限られています。
つまり、「保健処方箋」がないと調剤されない=薬をもらえない
ということになります。
災害時に薬を受け取る2つの方法
災害時にはめちゃめちゃ混んでる病院に行く時間がない人や、緊急で薬が必要な人もいます。
そこで、正式に保健処方箋がなくても薬を受け取れる方法が2つあります。
お薬手帳を利用する
こちらは、「事後的に処方箋が発行されること」が条件となっています。
細かい条件として
・交通の遮断、近隣の医療機関の状況を客観的に見て診療が受けられないと判断できる
・医師との電話やメモによって処方内容が確認できる
というものがあります。
医療機関との連絡が取れない時
連絡が取れない時には以下の条件があります。
・被災者であること
・「処方が安定した慢性疾患」ということが薬歴・お薬手帳・包装等で明らかなこと
つまり、「慢性疾患の方でいつも同じ薬を飲んでいる」という方であれば、
・普段通っている薬局・かかりつけ薬局に行く〈薬歴があるから〉
・お薬手帳を持っていく
・飲んでいる薬を実際に持っていく
のどれかができれば薬を受け取ることができます。
料金はどうなるの?
法定通りの保険調剤になるので、1~3割の負担になります。
つまり、いつもと同じ値段です。
災害処方箋を発行してもらう
災害処方箋とは
災害処方箋とは、災害救助法を法的根拠とした、保健医療機関以外の場所で発行される処方箋になります。
保健医療機関以外の場所というのは、以下の場所です。
- 救護所
- 避難救護センター
誰が発行するの?
災害処方箋を発行できるのは日本赤十字社の救護班、災害派遣医療チーム〈DMAT〉、JMATなどのボランティアです。
どこで調剤するの?
調剤ができる場所〈薬を受け取れる場所〉は以下のようになっています。
- 救護所
- 避難救護センター
- モバイルファーマシー
- 保健薬局
簡単に説明すると、診療をしてくれた場所の近くの臨時薬局か、
地域にある薬局か、モバイルファーマシーですね。
料金はどうなるの?
患者負担額は「県市町と県薬剤師会との災害協定」によって異なります。
これまでの災害では患者負担なし=無料でした。
無料とはいっても、費用は処方場所の自治体が払っているので税金です。
災害時に医薬品を受け取る方法をまとめるとこのようになります。
薬剤師として知っておくこと
薬剤師としては、災害処方箋を書くこと、応需することが考えられます。
災害処方箋は以下のようにひな形があります。
しかし、ひな形がない場合には紙に手書きで作ることも考えられます。
災害処方箋の記載内容
災害処方箋に記載が必要な項目は以下のようになっています。
- 災害医療に関わる処方箋である旨
〈災〉の記号など - 患者名
- 処方医名
- 処方場所
- 処方内容
また、薬袋は以下のようになっています。
薬局が気を付けること
保険薬局は災害処方箋も、保険処方箋も応需することになります。
手元にあるのは保健処方箋なのか、災害処方箋なのかを見分け、適した対応が必要になります。
基本的に災害処方箋には保険者番号などの記載がないので見分けやすいです。
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