皆さんこんにちは!災害医療大学です。
皆さんは「災害拠点病院」はご存じですか?
簡単に言うと「災害が起きた時にそこを中心に災害医療を行う」って感じです。
それでは、「災害拠点精神科病院」はご存じでしょうか?
厚生労働省関係で、災害医療に携わるチームとしてDMATがありますが、DPATという災害派遣精神医療チームもあります。
つまり、災害時において精神医療も重視されているということです。
DPATなど、災害時の精神医療の中心となるのが「災害拠点精神科病院」です!
DPATについてはこちらの記事をご覧ください。
災害拠点精神科病院とは?
災害拠点精神科病院とは、災害時においても精神科医療を提供でき、DPATの活動拠点本部としての役割を果たすことのできる病院です。
簡単に説明しましたが、災害拠点病院は第7次医療計画の中で記載されており、現在では指定要件もあります。
なんで災害拠点精神科病院が必要なの?
なぜ災害拠点精神科病院が必要なのか?
この疑問は「なぜ災害拠点精神科病院が考案されたのか?」から見ていきましょう!
搬送に時間がかかり、死者が出たから
2011年の東日本大震災では精神科病棟から計1218人の患者を県内外に搬送しましたが、
「EMISに精神科病院が登録されていない」
「精神科病院への支援が非常に遅れた」
ということがあり、搬送中や搬送先で肺炎・低体温症による十数例の死亡事例があります。
EMISって何??という方はこちらをご覧ください!
一時避難場所として必要
一般的に患者は病院に搬送しますが、精神症状に応じた対応をできる病院とそうでない病院があります。
行動制限などの特別な対応ができるスタッフがいること、
特別な対応が必要な患者か判断できること、などのスキルが必要となります。
DPAT等の受け入れ体制が必要
ここまで聞いたらどこの精神病院でも大丈夫じゃーん。
って思うかもしれませんが、災害時にDPATなどの外部支援を受け入れられることも必要です。
これはつまり、各所の精神病院からの患者の受け入れも含みます。
それだけのキャパシティのある病院でないと厳しいですね。
簡単に分けると以上の3点が理由で
「災害拠点病院だけじゃ対応厳しいね~」
「災害拠点精神科病院も必要だね!」となりました。
災害拠点精神科病院の指定要件は?
2019年4月1日から災害拠点精神科病院の指定要件が発表されましたが、まずは災害拠点精神科病院の目標などを見ていきましょう!
法律とかで言葉遣いが難しいので、簡単に書きます!
目標
災害時においても精神科医療を行えるようにしよう!
被災しても早くに診療機能を回復できるように平時から備えよう!
被災したら被害状況とかをEMISで災害対策本部に共有しよう!
DPATを派遣できるようにしよう!
災害時でも精神疾患の患者受け入れや一時避難場所になろう!
ここまでは単純に目標です。
それでは指定要件を見ていきましょう!
あまりにも基本的なことは省きます~
指定要件1:運営体制
24時間緊急対応できて、精神科医療の必要な患者の受け入れ・搬送ができること。
災害発生時に精神科医療の必要な患者の受け入れ拠点となれること。
DPATがいて、派遣もできること、外部支援の受け入れができること。
業務継続計画(BCP)が整備されていること。
BCPに基づいた研修・訓練を実施していること。
地域の精神科医療機関や医師会などの団体と定期的な訓練や研修を実施すること。
指定要件2:施設及び設備
患者が多数発生した際に対応可能なスペース・簡易ベッドがあることが望ましい。
耐震構造であることが望ましい。
自家発電機等があり、3日分程度の燃料を確保すること。
災害時の診療に必要な水を確保すること。
衛星電話があり、衛星回線インターネットが利用できる環境を整備すること。
EMISに参加し、情報が入力できること。
食料・飲料水・医薬品等について3日分程度備蓄しておくこと
災害拠点精神科病院はどこにあるの?
現在は各都道府県に少なくとも1ヶ所以上はあることが望ましいとされています!
実際にどこが指定されたかの公的なリストが見つかっていません。
災害拠点病院と災害拠点精神科病院の違い
ここまで読んでくださった方ならもう災害拠点病院とは違うな~とわかると思いますが、再度まとめます!
災害拠点病院
DMAT等の拠点
DMATを保有
災害時に災害医療の拠点となる
各都道府県に1ヶ所以上ある
災害拠点精神科病院
DPAT等の拠点
DPATを保有
災害時に精神医療の拠点となる
各都道府県に1ヶ所以上を目指している
本当に単純に「精神科」に特化している!
という感じです。
まだ災害拠点精神病院の指定要件が定まってから大きな災害が起きていないので、これからまだ変化していくと思います!
今後さらに指定される精神科病院も増えていくのを待ちましょう!
いつから災害拠点精神科病院があるの?
災害拠点精神科病院が必要性が感じられたのは2011年の東日本大震災と、2016年の熊本地震です。
公的に「災害拠点精神科病院」という名前が発表されたのは、
2017年の「疾病・事業及び在宅医療に係る医療体制について」(平成29年7月31日付医政地発 0731 第1号厚生労働省医政局地域医療計画課長通知)
でした。
しかし、災害拠点精神科病院の目標、求められる機能が記されただけで、特に指定要件などは決まっていませんでした。
つまり、2017年には災害拠点精神病院はあります!
それから2018年に「災害拠点精神科病院の現状および課題について」が報告され、災害拠点精神科病院の指定要件が考えられました。
「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」で2019年2月6日、3月29日に議論され、2019年4月1日から指定要件が発表された流れになっています。
さて災害拠点精神科病院とはどのような病院かわかりましたか??
「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」には議事録も載っているので見ていてかなり楽しいですよ!
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