皆さんこんにちは!災害医療大学です。
本講義ではトリアージの際に用いる識別票であるトリアージタッグについて、トリアージタッグとは何か、トリアージタッグの色と意味、トリアージタッグに記載する内容、トリアージタッグの使い方・装着部位、厚生省の発表した規格の解説をしています。
トリアージとは何かを知るうえでトリアージタグの把握は必須です。ぜひ最後までご覧ください。
トリアージタッグとは
トリアージタッグとはトリアージの際に用いるタッグ(識別票)です。
言い換えると、トリアージタッグとは、トリアージの結果を記載するメモ帳です。
厚生省〈当時〉のちょっとお堅い表現を使うと、
災害発生時等に多数の傷病者が発生した場合,傷病者の緊急度を重症度に応じて適切な処置や搬送を行うための傷病者の治療優先順位を決定する際に用いるタッグ(識別票)をトリアージ・タッグという。
厚生省
とされています。
重要なポイントは、傷病者の治療優先順位を決定する際に用いるタッグ(識別票)をトリアージ・タッグという。の部分になります。
まずは下のトリアージタッグを見てみましょう!
タッグの下の部分が緑・黄・赤・黒とカラフルになっていますね。
日本においては基本的に上のようなトリアージタッグを使います。
(海外のトリアージ区分では灰・青などがあります)
トリアージタッグの色と意味
トリアージタッグには4色の区分があります。
各色の呼び方・特徴は以下のようになっています。
- 黒タグ 優先順位:4位 (不処置群・DECEASED)
特徴 息をしていない・救命が困難 - 赤タグ 優先順位:1位 (最優先治療群・IMMEDIATE)
特徴:重症でバイタルが不安定・急げば救命可能 - 黄タグ 優先順位:2位 (非緊急治療群・DELATED)
特徴:バイタルが安定しており、待機可能 - 緑タグ 優先順位:3位 (軽傷群・MINOR)
特徴:軽傷で専門的な治療を必要としない
日本では基本的に上記の4色を使いますが、世界ではほかにも灰色・青色・白色などの区分があります。
各色の区分を詳しく知りたい方はこちらをどうぞ!!
トリアージタグに記載する内容
トリアージを行った際はトリアージタッグに結果を記載するのですが、基本的な項目は決まっています。
大きく分けると、「傷病者の同定の項目」「担当機関の同定の項目」「その他トリアージタッグによって異なる項目」となっています。
「傷病者の同定の項目」と「担当機関の同定の項目」はトリアージタッグの規格として定められているので、基本的に必ず記載欄があります。
傷病者の同定の項目
傷病者の同定の項目は、以下の5項目です。
- 氏名
- 年齢
- 性別
- 住所
- 電話
傷病者の意識がないなど、回答できない場合は「氏名:不詳」などと記載します。
担当機関の同定の項目
担当機関の同定の項目は、以下の5項目です。
- (タッグの)N0.
- トリアージ実施月日・時刻
- トリアージ実施者氏名
- 搬送機関名
- 収容医療機関名
トリアージタッグは傷病者にずっと装着しており、トリアージをした現場 → 搬送中 → 医療機関 でずっと同じトリアージタッグを使います。
そのため、「搬送機関名」「収容医療機関名」はその都度追記する流れになります。
その他トリアージタッグによって異なる項目
トリアージタッグによって記載箇所があったりなかったりする項目の中でも、有名な6項目は以下のようになります。
- トリアージ実施場所
- トリアージ実施機関
- 傷病名
- トリアージ区分
- 特記事項
- 人体図
ここまでご紹介した各記載項目の詳しい説明や書き方はこちらをご覧ください。
トリアージタッグをかしこく、効率的に記載する順序の紹介もしています。
トリアージタッグの装着部位
トリアージタッグの使用する場所(装着部位)は大原則として右手首です。
2つ目の大原則に服や靴などには装着しないというものもあります。
図にあるように、けがをしている場合には以下の優先順位で装着します。
- 右手首
- 左手首
- 右足
- 左足
- 首
看護師国家試験などでも出題されるようなので必ず覚えてください!
トリアージタッグの記載内容と、装着場所について愛知県警でわかりやすい動画が公開されています。
トリアージタッグの規格
トリアージタッグはもともと規格が決まっておらず、それぞれの機関が独自のトリアージタッグを使っていました。
トリアージタッグ下部のラベルの順番が違うなど、現場の組織間連携がうまくいかない原因となっていました。
ということで、厚生省〈厚生労働省〉が「トリアージ・タッグの標準化について」(平成8年3月12日付 指第15号)を公表しました。
全部で以下の7つのルールが設けられています。
- タッグの形式及び寸法
- タッグの紙質
- タッグ用紙の枚数
- タッグの形式
- タッグに用いる色の区分
- 傷病者の同定及び担当機関の同定に係る記載内容
- タッグ制作主体の裁量部分
詳しく知りたい!というかたはこちらをご覧ください。
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