皆さんこんにちは!
災害医療大学です。
「災害時」と聞いて、皆さんはどのような光景を浮かべますか?
救助などの発災直後、避難所生活、復興の途中。どれも全部「災害時」と言えますが、光景は全く異なります。
今回は、「災害時」を発災からの時間で区分する災害サイクルという考え方をご紹介します。
災害サイクルは災害医療の中で頻繁に出てくる言葉です!確実に覚えましょう!
音声版は下の動画をご覧ください。
災害サイクルとは
災害サイクルとは、発災から次の災害までを時期で分ける考え方です。
大きく分けると5つの時期・フェーズに分かれます。
災害が発生した時をはじめとして、超急性期・急性期・亜急性期・慢性期・平穏期に分けられ、下図のように繰り返されます。
この図のように平穏期を経て、次の発災で超急性期が再び始まります。
災害サイクルの期間
災害サイクルにおける各フェーズ(期間)は、以下のようになります。
フェーズ名 | 期間 |
超急性期 | 発災から2.3日 |
急性期 | 発災から1週間 |
亜急性期 | 発災から2.3週間 |
慢性期 | 発災から数か月~数年 |
平穏期 | 災害の影響がない時期 |
平穏期は、静穏期と呼ぶこともあります。
それでは各フェーズを順にみていきましょう!
災害サイクルの超急性期は発災から2~3日間
超急性期とは、発災してから2~3日間のことです。
自衛隊や日赤、DMAT隊などが出動します。
災害医療としては、「トリアージ」「搬送」「瓦礫の下の医療」がメインです。
※瓦礫の下の医療は基本的に現在行われません。
後の講義でもご紹介しますが、「DMATは超急性期」と覚えておきましょう!
超急性期にあたる光景は、災害医療と聞いたときに一番想像しやすいシーンだと思います。
指揮命令系統の確立や安全確認、トリアージ等々やることがたくさんあります。
CSCATTT ~大規模災害のマネジメント~ こちらを参考にしてください!
災害サイクルの急性期は発災から1週間程度
急性期とは、発災から1週間程度のことです。
DMAT隊など、超急性期から支援している第一団は後続隊に引き継ぎを行います。
従来の医療機関にも徐々に引継ぎを行います。
撤退と引継ぎが起きるため、医療支援が一時的に低下するポイントです。
避難所生活が始まる時期のため、避難所の整備等が大切になる時期です。
日本医師会災害医療チーム(JMAT隊)など、支援に来るチームの種類が増えてきます。
急性期あたりからボランティアや、支援物資などが送られてきます。
災害対策本部ではボランティアチームの指揮命令系統の確立や、支援物資の管理などにも力を割く必要が出てきます。
災害サイクルの亜急性期は発災から2~3週間
亜急性期とは発災から2~3週間のことです。
新たな外傷患者は減少する傾向にあります。
普段飲んでいた薬がなくなる、衛生環境の悪化になどにより、慢性疾患・持病の悪化の対策が必要です。
長引く避難所生活により免疫力が下がり、感染症の流行やストレス障害が増加します。
急性期から、避難所の衛生環境をよくすることが必要です。
普段の医療を提供できれば救たはずの、防ぎえた災害死・災害関連死が増加するタイミングになります。
亜急性期では避難所の管理、支援に関するスキル・知識が重要となります。
避難所アセスメントなど、避難所で活躍するためのスキルを身に着けるには「BHELP研修」がおススメです!
災害サイクルの慢性期は発災から数か月~数年
慢性期とは発災から数か月~数年のことです。
被災地の復興が本格的に始まります。被災地の医療体制の整備等、中長期的な支援が必要となります。
被災者だけでなく支援者も精神的ダメージを負っていることがあります。メンタルヘルスに関する医療需要は忘れないようにしましょう。災害時の精神医療に特化した、DPATというチームがあります。
災害時の医療ニーズについて詳しくは5限目の講義でお話ししています。
災害サイクルの平穏期(静穏期)とは災害の影響がない時期
平穏期(静穏期)とは、災害の影響を直接受けておらず、復興が終わった時期のことです。
防災や減災に取り組むべき時期となります。
今まさに皆さんが「災害医療大学に訪れている」ように災害医療の勉強や災害時の対応に興味を持つ方を増やす時期です!
防災計画やマニュアルの策定、災害対応訓練の準備期間として有効活用しましょう。
最近では事業継続計画BCPについて関心が高まっています!
以上、災害医療概論 4限目「災害サイクル」でした。
災害サイクルをまとめるとこの図になります。
では、確認テストを終えた人から解散で~す。
確認テスト
第一問 災害サイクルにおける超急性期とは発災から72時間までの期間である。
第二問 亜急性期では新たな外傷患者が増加する。
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回答一 正しい
回答二 誤り 新たな外傷患者は減る〈二次災害等がない場合〉
災害サイクルに関連する資料・書籍・サイト
本記事作成にあたり参考にした書籍・資料・サイトです。ぜひご覧ください!
災害サイクルと医療のニーズの関係はこちらから!
※災害医療大学で作成した図が学校看護の教科書に掲載されました!
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