皆さんこんにちは!
災害医療大学です!
今回は、実際にご質問いただいた、
「災害医療認定薬剤師と災害医療支援薬剤師は何が違うの?」にお答えします!
ではまず、災害医療認定薬剤師から見ていきましょう!
災害医療認定薬剤師とは?
一言でまとめます。
災害医療認定薬剤師とは、薬剤師として優れた人材及び災害医療に関する見識を備えていることを日本災害医学会によって保障されている薬剤師です。
英語表記は、「Certified Pharmacist for Disaster Medicine」となります。
災害医療認定薬剤師制度とは
災害医療認定薬剤師制度は日本災害医学会によって制定されています。
災害医療認定薬剤師制度の目的は、災害医療に関する専門的な知識及び技能を有する認定薬剤師を養成し、国民全体の保健・医療・福祉に寄与するため、災害時の医療に関する研修を実施し、薬学的知見を集積し、災害医療の進歩、発展に寄与することです。
災害医療認定薬剤師の条件
災害医療認定薬剤師になるためには条件がいくつかあります。
- 日本における薬剤師免許を持っていること
- 薬剤師の実務経験があり、災害医療に関する研修を受けているもしくは十災害の対応経験があること
- 日本災害医学会の正会員で会費を2年分完納していること
- 日本病院薬剤師会生涯研修履修認定薬剤師、日本医療薬学会認定薬剤師、日本薬剤師会生涯学習支援システム(JPALS)レベル5以上、薬剤師認定制度認証機構により認証された認定薬剤師、または、認定薬剤師制度委員会の認める実務経験を持つ薬剤師であること
- 災害薬事研修(PhDLS)世話人であること。または、PhDLSインストラクターかつ実災害対応経験(認定薬剤師制度委員会が認めるもの)を有すること
最後の要件は要約すると、日本災害医学会で行っている災害薬事研修(PhDLS)を運営できるレベルまで極める。
ということです。
災害医療認定薬剤師になる方法
あくまでも1例を載せます。
- 薬剤師になる
- 日本薬剤師会生涯学習支援システム(JPALS)レベル5以上になるよう、実務経験を積む
- 日本災害医学会に入会する(2年間以上)
- 災害薬事研修に参加(プロバイダーコース・インストラクターコース・プロバイダーコースの運営)
災害医療認定薬剤師は更新が必要!
災害医療認定薬剤師は、認定された後も5年おきに更新をする必要があります。
更新の要件として、学術集会への参加、研修会への参加、研究発表などが必要です。
詳細は日本災害医学会のHPをご覧ください!
災害医療認定薬剤師であるためのコスト
資金面でのコストとしては以下のようになります。
項目 | 金額 | 発生頻度 |
日本災害医学会(年会費) | 7000円 | 毎年 |
申請手数料 | 5000円 | 1度 |
認定手数料 | 10000円 | 1度 |
更新申請手数料 | 5000円 | 5年ごと |
更新認定手数料 | 10000円 | 5年ごと |
以上のほかに、各研修や学会等の参加費が加算されます。
災害医療認定薬剤師になるためには何を学ぶのか?
災害医療認定薬剤師になるためにはPhDLSコースを受講する必要があります。
簡単にまとめると、CSCATTTのような災害医療の基本原則から始まり、
災害薬事の原則であるCSCAPPPを学びます。
実技として災害薬事トリアージやフィジカルアセスメントも含まれています。
それでは次に災害医療支援薬剤師を見ていきましょう!
災害医療支援薬剤師とは?
簡単にまとめると、
災害医療支援薬剤師とは、日本災害医療薬剤師学会が開催する研修等64コマのカリキュラムをすべて受講したことが保障されている薬剤師です。
64コマのカリキュラムは原則として4年間の間に修了します。
災害医療支援薬剤師の条件
災害医療支援薬剤師になるためには条件があります。
- 日本における薬剤師であること
- 薬剤師免許取得後3年以上経過していること
- 日本災害医療薬剤師学会会員であること
- 災害医療支援プログラムに沿った研修を修了すること
災害医療支援薬剤師になる方法
1例を挙げます。
- 薬剤師になる
- 3年間実務経験を積む
- 日本災害医療薬剤師学会に入会
- 4年間の研修を受ける
災害医療支援薬剤師も更新が必要!
災害医療支援薬剤師の更新は2年おきに行います。
更新のための条件は、災害医療研修会の参加、学術大会の参加などがあります。
災害医療支援薬剤師であるためのコスト
資金面でのコストとしては以下のようになります。
項目 | 金額 | 発生頻度 |
日本災害医療薬剤師学会(年会費) | 5000円 | 毎年 |
登録料(審査料) | 10000円 | 1度 |
更新登録料 | 5000円 | 2年ごと |
学会の入会金10000円、研修や学会の参加料は含めていません。
災害医療支援薬剤師は何を学ぶのか?
4年間かけて64コマのカリキュラムを受講することで災害医療支援薬剤師になれるのですが、どのような内容を学ぶのでしょうか?
日本災害医療薬剤師学会のHP上に公開されていますが、頑張って要約しました!
- 災害の定義
- 災害医療とは、救急医療との違い
- 自然災害における疾病構造
- 指揮命令系統
- 災害時に活動する組織
- 安全管理の3s
- 情報伝達(METHANEなど)
- 災害時評価
- EMIS
- トリアージ(START法・PAT法)
- 救急蘇生
- 初期診療
- 搬送・広域医療搬送
- 現場等での医療支援活動
- 災害サイクルにおける各フェーズでの支援活動
- 医薬品物流
- 他の支援組織との連携
- 関連法規
※災害医療大学でかなりの部分をカバーしているのでぜひ予習復習等に役立ててください!
災害薬学とは、災害医療の中でも特に薬学に関する分野です。
医薬品の供給や分類など、災害医療の場での薬学知識は必要不可欠です。
災害医療認定薬剤師と災害医療支援薬剤師の違い
最後に、災害医療認定薬剤師と災害医療支援薬剤師の違いをまとめます!
災害医療認定薬剤師 | 災害医療支援薬剤師 | |
制定機関 | 日本災害医学会 | 日本災害医療薬剤師学会 |
受講する研修 | PhDLS | 災害医療支援プログラムに沿った研修64コマ |
研修の度合い | プロバイダーコースを運営できるまで極める | 基本的に4年間の研修 |
更新頻度 | 5年おき | 2年おき |
最後に
災害の現場においては、薬剤師として、その場に必要とされている仕事をします。
そのため、資格があろうとなかろうと、動ける人が業務に取り掛かります。
今回ご紹介した資格があるから〇〇ができる!ということはありません。
しかし、これらの資格を持っていることが、
「基本的な知識がある」「定期的な研修をしている」ということの証明になります。
災害の現場においては身体的にも、精神的にもつらいときが多々あるはずです。
そんな時に皆さんを支えるのは「これまでの努力、経験、知識」ではないでしょうか?
いきなり研修会に参加するのはなんとなく怖い!という方もいらっしゃるかもしれません。
そういう方はぜひ災害医療大学を活用してください。
きっと為になる情報が見つかるはずです。
災害医療を担うメンバーになるための背中を押し、活動する際の支えになることができれば本望です。
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