皆さんこんにちは!災害医療大学です。
災害医療のチームといえばDMATの名前が真っ先にあがってくるのではないでしょうか?
本講義では、DMATを詳しく、徹底的に解説します!
- DMATとは
- DMATの法的根拠
- DMATチームの構成
- DMAT隊員は普段何をしているのか
- DMATになる方法
- DMATの起源
- DMATの活動内容
- DMATの派遣先
- 後方支援とは
- 日本DMATと都道府県DMATの違い
- DMAT隊員はどこにいるのか
以上の11個の疑問にお答えします!!
DMATを詳しく学びたい方は最後までご覧ください!
DMATとは
DMATとは、災害派遣医療チーム:Disaster Medical Assistance Teamの頭文字です。
DMATは発災から48時間以内に活動できるように訓練された医療チームで、1チームは医師・看護師・業務調整員の4名~5名で構成されています。
DMATの運用体制と法的根拠
日本DMATの運用体制は、「厚生労働省防災業務計画」における災害医療体制の整備の項目で厚生労働省医政局が整備することになっています。
つまり、日本DMATは厚生労働省の管轄です。
実際に、DMAT事務局は厚生労働省によって運営されています。
DMATの法的根拠
また、DMATの訓練・派遣・派遣要請は、
「災害対策基本法」において、中央防災会議による作成・公表が定められている、「防災基本計画」によって決められています。
つまり、DMATの活動の法的根拠は災害対策基本法になります。
上の画像の、「日本DMAT活動要綱」によってDMATが何をするのか明確にされています。
DMATのチーム構成
DMATは基本的にチームで活動します。そのため、1人で活動することはほとんどありません。
DMATチームの基本的な構成は
- 医師
- 看護師
- 業務調整員(薬剤師など、医師・看護師以外の医療職及び事務職員)
となっております。
1チームあたりの人数は、医師1人、看護師2人、業務調整員1人の合計4~5人が基本です。
誰でもDMATになれるのか?
医師であれば、看護師であればだれもがDMAT隊員になれるわけではありません。
DMATとは災害時に48時間以内に活動できる機動性を持った、専門的な訓練を受けた医療チームです。
普段から訓練をしているからこそ有事に動けます。
DMATの派遣は被災地域の都道府県の派遣要請もしくは、緊急の必要があると判断すれば、要請がなくともDMATの派遣要請ができます。
つまり、災害が発生したらすぐに出動できるような訓練が必要になります。
DMATになるためには養成研修があり、隊員になってからも技能維持研修などに参加する必要があります。
DMATの人は普段何してるの?
災害時にDMATとして活躍する人たちは普段は何をしているのでしょうか?
ズバリ回答すると、「病院に勤務している」です。
DMATの皆さんは普段も医師・看護師・薬剤師・事務員・・・
のように病院で働いている場合がほとんどです。
災害医療に関する普段の活動は、災害医学会のような学会に参加したり、
DMAT事務局が主催する訓練に参加しています。
楽ではない私生活
実際に聞いてみたところ、
派遣要請がきたらすぐに出発する必要があるから、日本全国どこかで災害が起きるたびに休みの日でも仕事モードになる。
いつでも出発できるようにスーツケースを用意している。
とのことでした。
どんなものを準備しているのかはこちらの講義をご覧ください!!
DMATになるには?
DMAT隊員を目指している人も多いと思うので、ここで紹介させていただきます。
DMAT隊員になるにはどうしたらよいの?に対し、
ズバリ回答すると、「災害医療、救急等に強い病院に就職すること」です!
災害医療・救急に強い病院といえば、「災害拠点病院」「DMAT指定医療機関」があります。違いを把握しておきましょう!
なぜ病院に勤めているのか?
先ほど、DMATの人が普段「病院に勤めている」と紹介しました。
なぜ病院に勤めているのでしょうか?
ズバリ回答すると、「DMATチームを持っているから」「DMAT養成研修の受講資格を得るため」・「勉強しやすいから」です。
DMATの隊員証を持つことが目的ではありません。DMAT隊員として派遣される必要があります。
そのためには、DMATチームを持っている病院に就職し、チームに所属する必要があります。
また、DMAT隊員になるのは簡単なことではありません。
DMATで学ぶことは標準テキストにまとめられています。得られる知識量と比較したら妥当な値段といえるでしょう!
DMATの勉強をしただけではDMAT隊員にはなれません。DMATの訓練を受け、DMATの登録が必要です。
DMATの研修・訓練を読んでみましょう!
DMATの起源
ところで、何がきっかけでDMATが誕生したのでしょうか?
DMATの起源は2005年4月で、厚生労働省によって発足しています。
有名な災害の時系列と照らし合わせてみましょう。
- 1995年:阪神淡路大震災
- 2005年:DMAT発足
- 2007年:新潟中越地震
- 2011年:東日本大震災
- 2016年:熊本地震
時系列からもわかりますが、DMATは阪神淡路大震災をきっかけに発足しました。
阪神淡路大震災から10年でDMATが誕生しました。
一人でも多くの命を助けようという思いで活動しています。
災害のたびに、派遣のたびにDMATの活動の見直しをしています。
「救急・災害医療提供体制等の在り方に関する検討会」というものが厚生労働省で開かれています。
定期的に見てみると更新されていますよ!
これまでのDMAT活動報告書をまとめると災害医療の進歩の歴史が見られます!
DMATの活動内容
実際にDMATが何をしているのかを日本DMAT活動要領をもとに見ていきます。
主な活動は以下の5点になっています。
- 本部活動
- 広域医療搬送 :被災地外に患者を航空搬送する
- 病院支援 :トリアージ・診療支援
- 地域医療搬送 :被災地内外に患者を航空搬送する
- 現場活動 :緊急治療・トリアージ
また、本部業務のサポート、病院支援、情報収集も行います。
平常時の活動や詳細はこちらをご覧ください
現場活動の中にがれきの下の医療が含まれていますが、(令和4年の改定で削除されました。)
実際のところ最近は行っていません。
「Dr.DMAT」の影響もあり、がれきの下の医療が注目されました。
しかし、医療者の安全確保や医療資源の効率化の関係で今では死語となりつつあります。
DMATの派遣先
DMAT隊員として派遣される場所はどこでしょうか?
災害の種類・規模によって派遣先も、活動内容も変わります。
しかし、DMATの派遣先の優先順位を把握すると、大体どこに派遣されるのかがわかります。
DMAT派遣の優先順位は上から順にこのようになっています。
理由としてはまずは防ぎえた災害死を減らすことです。
次に防ぎえた災害健康被害を減らします。
真っ先に中核となる病院が立て直されないことには医療需要に対応できません。
つまり、派遣されるDMATのチーム数が少ない、超急性期~亜急性期という条件であれば、より災害拠点病院などに派遣される傾向があるんだな~
と思っていてください。
DMATの後方支援とは
後方支援という言葉を聞いたことはありますか?
後方支援とは、軍事用語が起源の言葉で、「前線で活動しやすくするために支援すること全般」を指します。
「活躍するDMAT」と聞いて何を思い浮かべる光景は、トリアージを行う姿や、診療支援などの被災地(前線)での活動を想像すると思います。
その活動の裏にはたくさんの後方支援があります。つまり、「被災地外からの支援」です。
例えば、
- 被災地に到着するための電車や船の手配
- DMAT隊員が泊まるためのホテルの手配
- 国に提出する書類の事務作業
- 派遣する隊員のスケジュール管理
があげられます。
ものすごく大切な仕事です。
災害医療大学で学ぶ皆さんは、DMATの後方支援も忘れないでください!
日本DMATと都道府県DMATの違い
ひとことでDMATと言っても二つのDMATが存在します。
日本DMATと、都道府県DMATです。
日本DMATは大規模災害時に全国から招集され、被災地に派遣されます。
都道府県DMATは各都道府県が独自に発足したDMATで、原則としては地域内の災害に対応しています。
先に述べたように日本DMATは厚生労働省管轄で、都道府県DMATは各都道府県所属になります。
DMAT隊員はどこにいる?
DMATの隊員はどこにいるのでしょうか?
厚生労働省が出している統計によるとしたのグラフになります。
こちらの値は「現に救急医療に携わる DMAT 隊員数/対象人口」となっています。
平均値が1.0となっているため、平均に合わせて補正していると考えられます。
皆さんの住んでいる地域はいかがですか?
特に着目すべきは、自分の住んでいる県の近隣の県を見てください。
災害が起きると、当然DMATの隊員も被災します。
DMAT隊員が所属している病院も被災します。
つまり、大規模災害時に派遣されるのは近隣のDMAT隊員がメインとなります。
DMATの自動待機基準を見ると自分の都道府県が被災したときの活動するDMATがよりわかります!
以上、「DMATとは何か」でした。
DMATについてもっと知りたい方は下部でおすすめの本を紹介しています。
災害医療に関わるチームはDMATだけではありません。
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では、確認テストを終えた人から解散で~す。
確認問題
第一問 DMAT1チームを構成するのは医師・看護師・業務調整員の計4名である
第二問 DMAT隊員は事務作業をしなくてよい
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回答一 正しい
回答二 誤り 手の空いている人が事務作業を行わないと刻々と変化する現場についていけません
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